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公園の右と左

先日、知り合いに素敵なスポーツ公園を教えてもらいました。

そこは、台風などで河川の水位が限界を超えたときに水没して周囲の住宅地に被害が及ばないようにするための遊水地となっているのですが、広大な敷地の7割くらいが芝生で、サッカー、バスケ、野球、テニス、などの専用コートや、小さな子ども向け遊具のある公園まであります。

芝生の手入れの良さや雰囲気がどことなくイギリスの公園に似ていて、芝、池、樹木や草木のバランスがすごく良いし、日本の公園にありがちな注意書きだらけの看板も広さのせいか目立たない。混んでもいないし、ぐるっと散歩するだけで気持ちが良い。かかる費用は駐車場代だけ。

さて、公園の紹介はそのくらいにして、今回のタイトルを思いついた理由について。

この施設には、一本の道を挟んで、芝生の広場とスケボーパークが隣接しています。

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先日の土曜、僕は息子と娘を連れて遊びに行きました。息子はサッカーをやめたあとスケボーを選んだので、今回はスケボーパークと3歳の娘を遊ばせるために訪れました。

芝生の公園に小さなサンシェードのテントを張り、息子はスケボーパークで滑る。僕は娘のストライダーに付き合いながらお兄ちゃんの滑りを見に行ったりそのへんをブラブラと散歩していました。

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天気も良いし秋風も気持ちがいい。お腹も空いてきたので、お兄ちゃんの休憩時間にテントでパンやおにぎりを食べていました。

その日は、公園のあちこちで、おそらく小学校低学年〜中学年の子どもたちにサッカーやラグビーを教えるスクールが開催されていました。

僕らのテントの目の前では、マーカーを置いてゲーム形式で2〜3年生くらいの子たちがプレイしていました。コーチは3人。

で、一番近いところのコーチがずっと大きな声で指示を出し続けているんです。誇張なしに、もうプレイ中ずっと。「そこは◯◯(子どもの名前)に出さなきゃダメだろ!」「声を出せよ声を!」「ほら取られただろう!」「何やってんだよ、だから言っただろう!」「ほらほら後から来てるぞ!」「ほら右に出せよそこで!」「声を出せ!」

どうやら僕らはテントを張る場所を完全にしくじったようです。

せっかくピクニックのお弁当を美味しく食べていたのに、久々に典型的なジュニアのうるさいコーチの声をずっと聞かされて、もうサッカーから離れた小5の息子も聞いていられない風で「ほんと、うるさいねぇ」と一言。

一方、スケボーパークの方は年齢も格好もバラバラです。小学2〜3年くらいの身長の子が背丈の3倍もあろうかというランプを豪快に往復して華麗なトリックを決めてると思えば、ヨチヨチでただ板を滑らせるだけの女の子を犬と見守るパパ、60歳超え?と思うようなヘルメットとプロテクターで身を固めるシニア初心者、タトゥーが入った上半身裸のティーンエイジャーのグループなど、本当に色とりどりのスケーターが思い思いに板を滑らせています。なんなら、身長半分以下の子どもの滑りをそのタトゥー兄ちゃんは真剣な眼差しで追いかけている。だって圧倒的にその子の方が上手いんだもん。

そして決定的なのが、誰もが楽しそうにしていること、そして人の滑りを良く見てる。ランプに入るタイミングもお互いに確認しあってるのでぶつかることもない。もちろん子どもを怒鳴りつけるようなコーチなんていない。中には熱の入ったパパと息子みたいなコンビもいるけど、隣の芝生のようにずっと大声で指示出すような人はいない。

これが道を隔てた両隣の様子でした。

団体競技と個人競技の違いはある。でも、なぜその激しいコントラストが生まれているのか?

スポーツって何のため?誰のため?ということについて考えを巡らせるための状況サンプルを、道を挟んだ左右で同時観察できる貴重な場所でした。

吠えまくりのジュニアコーチさん、一度スケボーパークの方に来てあのスーパーキッズに滑り方を教えてもらったらいいのに。あ、でもきっと「おじさん、今から滑るからよく見ててね」くらいしか言わないかもしれないけどね。



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