第6話
まるで映画でも見る様な感覚だ。
目の前に俺自身がいる。
それを少し離れた所で俺はそれを見ている。
あれは…。
彼女のマイだ。
どうやら喧嘩しているようで言い合いになっている、声は聞こえないのだ。
場面がグニャリと歪んで違う場所にいる。
会社だ。
後輩の山田が俺に何か言い寄っているが、俺は話しを聞かずあしらっている様だ。こいつがまた仕事の出来ない後輩でいつもつまらないミスばかりするのだ。そしてやっぱり声は聞こえない。
何なんだ?これは俺の過去か??
一体何のためにこんなものを見ているんだ?
そしてまた頭痛がすると場面が変わる。それは……。
一番見たくない過去。
学生時代からの親友で心から気の許せる奴、高橋だ。だが、裏切られたのだ…。あの頃マイと会えば喧嘩ばかりでいつもマイは泣いていた、そしてあの日。
久しぶりにマイの自宅を訪ねた時、仲直りも兼ねてサプライズで連絡無しで行ったらそこに高橋がいた。
だから俺は……。
…………。
『殺したのですね?お二人とも』
ドクンッ!と心臓が脈打ち鼓動が早まる。
俺は………どうして……。
『あ、あいつらが俺を裏切ったんだ!!』
『…………。』
俺の言葉に返答はない。
『真実は本当にそうでしょうか??』
!?
真実だと!?
『あなたは、会社で不正を行っていた。それに気付いた後輩の言葉を無視してあろう事かその罪を彼に押し付け辞職まで追い込み彼は心身ともに病んでしまった。元々後輩イジメをしていたんですよね?ストレスの吐け口として。』
『…………。』
『彼女のマイさんとの喧嘩も原因はあなたの度重なる浮気が原因ですよね?何度止めて欲しいという彼女の言葉にあなたは暴力までふるって……。』
『…………。』
『そんな身勝手なあなたをただ一人心配し注意してくれたのが高橋さんでは無かったのですか?何度注意しても聞く耳を持たないあなたに呆れボロボロになっていくマイさんを守ろうとしていたのは彼です』
おぎゃぁぁぁー!!
またあの赤ちゃんの泣き声が頭に響く。
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