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予知夢

昔から不思議な夢を見る事があった。
それは本当に鮮明でまるで目の前で劇を見ている様な感覚だ。

夢とはこんなもんなのかとずっと思っていた。
そしてその夢をハッキリ覚えているという事。

今までは良い事しか見てこなかった、例えば弟が生まれる前。
母が妊娠したのもその赤ちゃんが男の子だというのも事前に夢で見ていた。
だからうっかり弟が出来て嬉しいと言ってしまった時は誤魔化すのが大変だった。

そんなある日。
眠りについてしばらくすると突然映画のワンシーンの様に画面が見えた。
見覚えのある場所、学校だ。

あっ。

そこに現れたのは友人のKちゃんと私だ。
手には音楽の教科書抱え3階の教室から中央階段へ降りている。

音楽かぁ、これは火曜日の四時間目前だ。

音楽の時間は週1回、これが終わるとお昼の時間だ。
音楽室は私達の教室から遠い為少し急ぎ目で階段を降りて行く、その時だった。慌てて曲がってきた人とKちゃんが軽くぶつかり階段を踏み外しバランスを崩す。

まるでスローモーションの様にゆっくり体は宙に浮きコンクリートの床に頭から落ちて行く。

《Kちゃん!!!》

ドサッ!と鈍い音。
突然の出来事に周りは一瞬シーンと静まり返り、女子たちの悲鳴や叫び声で私の声はかき消された。
Kちゃんはピクリとも動かず冷たいコンクリートが真っ赤に染まっていく。
私は泣きながら彼女に駆け寄り必死で声を掛けている、そしてゆっくりとその画面から私の意識はフェードアウトして行く。


フッと目が覚めると私の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。なんて変な夢、今まで見た事もない嫌な夢だったんだろう。
私はどこかでこんな事は起こり得ないと思いたかったのだろう、こんな事が毎回正夢になるなんてあり得ない、そう強く否定して無意識に忘れようとしていた。そうすれば無かった事になるのでは無いかとさえ思いたくて。


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