第5話
視界を横切った物にゆっくりと視線を動かしたその時。
!!!!
またあのグッ!と体に圧力がかかる、そして足元にまるで大岩が乗っている様な感覚が襲う。
くっ、苦しい……。
その重みは段々と増していく、このままでは足が潰れてしまうのでは無いかと思う程の激痛が走る。
やめろ……やめてくれ!
そう強く思ったと同時に、フッと圧力が弱まりつい油断して目を開けてしまった。
【うわぁぁぁぁぁぁぁ!!】
声にならない叫びを上げる。
そこには、血だらけで髪は乱れ顔の皮膚が崩れ落ちた女が俺を見下ろしていた。俺と目が合うとニタリと笑った。視線を動かせない俺の顔にゆっくりと耳元まで近づき呟く。
「み…つけ……た…」
俺はあまりの恐怖にそのまま気を失ってしまった。気付きた時には朝になっていた。それからずっと何処にいても誰かに見られている様な感覚がする、だがあの夜の様な恐ろしい経験は無かった。数日が過ぎ、視線や気配がしなくなり日々の忙しさにそんな出来事さえあった事も忘れていた。
そしてあの日。
あんな怖い思いをした事忘れるなんて自分の甘さに思い知らされる事になる。
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