12月23日-5
ーマリー
今年も家族とのクリスマスかぁ……。
綺麗に飾られた街並みを楽しそうに笑い合いながら歩く人達を横目に、1人寂しく見つめながらぼんやりと思う。
私は二日後に引越しをする。
父は転勤族で幼い頃から転校を繰り返していた。
初めは辛かったが段々と状況に慣れて来て自分が辛くならない様に親しい付き合いを避けて来た。
だが今回は、珍しくここに引っ越して来て1年半が経とうとしている。
辛いなぁ……。
今までは1年と経たない内に転校していたので悲しむ間も無くだったのだ。
だから、親しい友達を作らず広く浅く付き合うのが私のモットーだった。
今の学校は皆バカばっかりでぶざけたりするけど、心から友達だと初めて思える人達に出会えた。だから、ここに居たいと強く願った。
しかし、運命とは残酷で父の転勤命令が出てしまったのだ。そしてまだ未成年の私は親に付いて行くしかなかったのだ。
生まれて初めて親に泣いて頼んだ、もう嫌だと、ここに残りたいと……。
両親はとても悲しそうな顔で
「辛い思いをさせてごめんね……。」
とても悲しげにそう言われたら何も言い返せなくなった。
もう、考えるのは止めよう…。
どうにもならない事なのだから。
私はこんな思いするのなら初めからモットーを貫いておけば良かったと後悔し、皆んなには内緒でここを去る事を固く決意する。
「クリスマスなんて……、大っ嫌い……。」
涙声の呟きは白い綿雪でかき消されて行く。
すぐ近くで鈴の音がしたが彼女には届かなかった様だ。