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パラレルワールド2

土曜日

夜中の0時15分前。
俺は緊張の表情で廃病院の前に立っていた。

うわぁ〜、雰囲気有り過ぎだって……。

今にも幽霊が出そうなその不気味な雰囲気に圧倒されるが、今日の目的は肝試しでは無いのだ。グッとお腹に力を入れ両手で両頬をパチンと叩いて自分に喝を入れた。

廃病院はとても大きく8階建となっており、正面入口は鎖でグルグルに巻かれている。その正面入り口を右手に周り裏口に辿り着くと、そこは何も施錠はされておらず簡単に扉が開く。

まずは……。

間違わない様に簡単なメモをしてきた紙を確認する。
異世界同士が繋がるのは本当に奇跡に近いらしく、その入り口は一つでも行き方を間違うと入れないらしい。

絶対に成功して見せる!!

1階通路を行き止まりまで行き引き返す時に1番目の扉を開けておく。
中は物が散乱していて酷い有様だ、きっとここは診察室だったのであろう。

そして中央の階段で地下に行き……。
地下か……。

ゴクリと生唾を飲んで踊り場から見える下の階を覗き込む、電気なんて無いし真っ暗でそこには恐怖しかない様に思える。

こ、こえぇぇー!

足が小刻みに震え出す、ここで諦めてたまるもんかと気合を入れ直し両頬をパチンと叩く、その音がこだましてビクッとなる。

奥まで闇が続く。

右に進み2つ目の扉を開ける。

うぅ……霊安室じゃん……。

『し、失礼しまーす』

極力小さい声でつぶやき扉を開けたが、中は怖くて見れなかった。
ここからエレベーターに乗りいくつかの手順をこなし遂に屋上へと向かう。

これで全ては終了したはず、間違っていなければパラレルワールドに着くぞ!



ピンポンと到着を知らせる機械音がしてゆっくり扉が開く。
そこには待ち望んでいた景色が広がっていた。

やった!!成功だ!!

嬉しくて飛び上がり駆け出す。
フと後ろを振り返るとエレベーターの扉が閉まりかけていたので慌てて駆け戻り扉を開ける。

そう言えばこれどうしようか?
セイヤさんは何も言ってなかったけど……。

街中にポツンとエレベーターの入り口だけが浮かんでいる異様な光景だ。もし扉が閉まってしまったら消えてしまいそうで怖くてそのままにしておけなかった。持っていたタオルを扉下に噛ませて閉じない様にしておいた。






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