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Bar-Ailes du Diable

ー第5夜ー第1話ー

今でも不可解なまま。
その謎は俺の中に残っている。
その出会いは偶然だったが彼は言う。

『この世の中には偶然はないのです。あるのは必然だけ、それは運命なんです』

彼らは異質の者だ、何の為に存在するのか?なぜこちら側と関わりを持つのか?その目的は?

我々の業界では都市伝説となっている。
Ailes du Diable=悪魔の翼

その扉は選ばれた者だけが入れると言う……。
もしかしたら異世界への入り口なのかも知れない。
それは出会ってはいけない存在なのかも知れない……。

ギィィィィィー。




俺はずっとある人物を追っていた。
そして遂にあの店に辿り着けたのだ。
散々今まで姿を眩まされたり、店を見つけても入れなかったりと随分振り回されたがやっとここまで来れたのだ。相手は俺の存在に気付いているのかも知れないが、それなら一層堂々と入るべきだ。

よし!!

意を決して扉に手をかけるとギィィィーと軋みながら扉が開く。
そこには品の良い長身の男が立っていた。

『いらっしゃいませ、ようこそAiles du Diableへ。わたくし案内人の魔鬼(マキ)と申します。中へどうぞ』

促されてカウンターの奥へ進む、奴は居ない様だ。
俺の仕事はいわゆるオカルトライター。その手の噂や出来事があると裏付けを取る為取材に向かい記事にする。
どんな事でも包み隠さずどんな手を使っても記事にする、それが俺の仕事だ。

あの事件が起こった日、ある男を目撃する。目は鋭くまるで殺人者の様でそれを隠すためかサングラスをしていて短髪に細身の長身、風貌は黒いスーツで身を包んでいる、何よりもその身に纏う空気感が異様だった。

こんな目立つ風貌の男をあの日誰1人目撃していないと言う。
こいつ人間なんだろうか??
そう思うには理由があった。
俺は幼い頃から普通の人には視えないモノが視えたのだ。大人になった今では殆ど視る事はなくなっていたが、彼は何か違うと俺の中の何かが警告する。

それから、色んな取材をしている中で何度も彼を見かけたがいつも姿を眩ませられていた。
現に今も、確かにここに入って行ったのに店内を見回してもどこにもその目立つ姿はない。



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