Xmasの夜に
ー明香と光司のXmasー
息を吐くと白い朧気な煙がゆらゆらと立ち上る。
ベンチに腰掛けキラキラ煌く雪をぼんやりと眺めていた。
綺麗だなぁ。
私はもう限界だった、これ以上彼の光司の側で笑っていられないと思って別れのメールを送った。
しかし、既に後悔している、携帯の電池が切れ光司に弁解しようとも連絡出来ずにいたのだ。
ここは、2人の思い出の場所。
港公園。
きっと、彼には何の思入れもないただの公園だろう。
でも、ここは私達が初めてデートして告白してくれた場所なんだけどね……。
シャン シャン シャン♪
《大丈夫だよ》
えっ?!
鈴の音と声が聞こえた。
その瞬間、全ての照明が消え真っ暗な闇に包まれた。
な、何?!
怖い……。
少ししてベンチの横に立っている外灯がポゥと柔らかい暖かな光を灯す。
………ぁ………す……。
微かに聞こえる声、幻聴?
暗闇からこちらに向かってくる人影が段々とハッキリと見えてきて、思わず声を掛ける。
『光司!!』
『明香!!』
目の前には、息も切れぎれで肩を上下に揺らし、息荒く呼吸し真冬だと言うのに額から汗を流す光司がいた。
次の瞬間、強くでもとても大切そうに抱きしめられる。
『………遅いよ………。』
『ごめん』
時刻は午後11時58分
『明香……。』
彼が急に真顔になり私から少し離れ跪き私の目を真っ直ぐに見つめる。
『俺の側に…ずっとこれからも居て欲しい。』
まさかの言葉に驚きを隠せずにいた。
こんな私で良いのだろうか?
それに私には言わなければいけないことがある。
『俺、明香に甘えてた、何でも優しく受け入れてくれるって…。でもそうじゃない、これからは俺が何でも受け入れる。明香の全てを守から側にいて欲しいんだ。』
『あ、あの…』
声が震える、私からの告白に彼は何て言うのか、絶望か拒絶か…。