12月23日-3
ーミカの両親ー
無機質な白い建物、普段は何の表情もない空間がXmas一色に染まっていた。皆楽しそうにその日の為に飾り付けをしたりと話が弾む、誰もがその日を待ち望んでいた。
だが、私達夫婦はその日が来るのを恐れていた。
Xmasなんて来なければ良い……。
時間が戻ればどんなに良いか、とさえ思ってしまう。
目の前には分厚いガラスが張られ私達の侵入を拒む。
声さえも届かない。
ただ、見ているしか出来ないのだ。
室内は透明のカーテンが覆われいろんな機械が忙しそうに動いている、酸素を送る機器からシュポシュポと規則正しく音を出す、心電図が弱いながらも小さく波うっていた。
どうして?!
どうして私の娘が……ミカがこんなに苦しまなければならないの!!
「明後日が山場でしょう……お父さん、お母さん、覚悟しておいて下さい」
先ほど担当医に呼ばれて告げられた言葉だ。
何を言っているのか分からない…。
主人に寄り掛かり腕にしがみつく。
それは自分が死刑宣告を受けるよりも惨いものだった。
ミカはまだ6歳なのに……。
4月からの小学校に通えるのを楽しみに、ランドセルを背負い楽しそうに走り回るミカの姿が脳裏をよぎりまた涙が溢れる。
神様がいるのなら、どうか、どうかこの子をお助け下さい!
私はどうなっても構わない、お願いします……。
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