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廃病院4

友人達に逃げるぞと叫び移動しようとした時だった。
地響きのようなごごごという音がして建物が揺れた、そしてあの悍しい声が廊下から響いてくる。

うわぉぉぉぉ。

段々声が近づいて来ている。

ヤバイ、これはさすがにヤバイやつだ。

鳥肌が立ちずっとゾワゾワする感覚と絶望感、さっきの不気味な写真が脳裏で映し出される。

まさか、そんな、でもそうだとしたら……。

意識を取り戻した友人も一緒に出口へと走った。
皆必死で振り返らず全速力で走った、時折呻き声や痛いとか不気味な声がしたが全て無視し、獣の様な叫び声も出口に近づくにつれ段々と遠ざかって行った。

無事、車まで辿り着き俺たちはその場を後にした。
去り際、チラッと建物を見ると入り口の奥まった所にあの写真で見た大男が立っていた気がするが今となっては確証はない。

しばらく車を走らせコンビニがあったのでそこで一旦落ち着こうと止まり、頭から血を流していた友人は少し切ってしまっただけでケロッとしている。一安心してやっとカラカラの喉を潤す、すると友人Aがぽつりと話し出す。

「ずっとね、声がしていたの。皆んなが怖がるといけないから言えなくて…。でね、あの地下の部屋に女の人がいて…。」

大粒の涙をポロポロと流す彼女、もう1人の友人が優しくなだめる。

「本当にごめん、あの時ちゃんと止めていたら……。」

友人は私ももっと強く言うべきだったと呟く、そして恐怖の一夜は終わった………。

…………。

………………。


いや、本当の恐怖はこの三日後にやってくる。
友人Aとライブ配信していた友人が亡くなった。
突然死、それも異様な形で。

友人Aは突然顔が熱い痛いと叫び、顔を自分で引っ掻き回して無残な姿で死んだ。
もう1人の友人は、恐怖の表情で顔を歪ませ顔の形が変形していた状態で死んでいた。
友人が一気に2人も変死するショックとあの夜の出来事が関係しているのではないかと恐怖に怯えていた。残った友人の勧めで俺ともう1人の女友人との3人で知り合いのお祓い師の所に行き祓って貰ったが、とても強い念らしく暫くはもつだろうという事だった。

もう2度と肝試しはしないと心から思っている。



             ーーーーー完ーーーーー

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