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第6話

直樹は体調が悪いと学校を休みがちになる。今までほぼ休んだ事の無い直樹がだ。お見舞いに行くと私の不安や心配をよそに、元気に対応してくれた。

『学校休むから心配したけどたいした事なくて良かったね。』
『まぁね♪でも退屈でさ〜違う意味で死にそうだわ』

そう言って変顔する直樹に2人で笑った。
だが、その夜すぐに事態は急変する、直樹が原因不明の高熱にうなされる様になる。心配で家の前まで様子を見に行った時、殺気にも近い気配を感じた。

な、なに?!

もう一度気配を探ろうと神経を集中させた、その時。

《珍しい血を持つ者だな》

ゾワッ!!

気配なくすぐ耳元で囁かれて驚いて飛び退く、そこには今まで見たどんな者達よりも悍しく見ているだけで体が拒絶反応を起こす様に震え出す。
これは危険だと、そう言わんばかりに。
黒い闇を纏い顔さえ見えない、それは私に話しかけてくる。

《箱を壊してくれて感謝している、お陰で自由の身だ》

そう言うと不気味な笑い声を発する。

『直樹から離れて!』

私の訴えに鋭い霊気を放ち私を威圧する。

『彼は頂いて行こう』
『そんな事!!』

させない!!そう言葉を発するより早く姿を消していた。
あれは相当な悪霊だ、このままでは直樹は連れて行かれてしまう。
だが、私1人ではどうする事も出来ず今に至るのだ。



『直樹を助けて下さい!!』

私の話しを一通り聞いた男が静かに煙草を吹かす。
私は今にも泣きそうな顔になる。

『あんたタチの悪い悪霊に目を付けられてしまったな、きっと直樹って子だけではなくあんたも連れていくつもりだぞ』
『えっ?!』

直樹の事で頭がいっぱいで自分まで狙われているとは考えもしなかった。

『しかも……』

また煙草を一口吸いふぅ〜と口から煙を出す。

『面倒な奴がまだいる…………死神だ』

!!!!

男の言葉に血の気が引いていくのを感じた。
そして相談屋さんは意外な言葉を返してくる。

『大体の事情は分かった、受けてやる』

えっ?えっ?!

こんな面倒事をすんなり引き受けてくれて拍子抜けして驚いてしまう、そんな様子の私を気にする事なく相談屋さんは、煙草を消して席を立つと入り口に向かってスタスタ歩き出した。
扉の前で振り返り着いて来いと言わんばかりに鋭い瞳で見つめ促される、マキさんと飲み物を出してくれた女性にお辞儀をして彼の後を追う。




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