西荻窪・こけし屋さんのおもいで
みなさんは喫茶店に行ったり、ケーキを買ったりするのはどんな時でしょうか?
私は落ち着きたかったり、ちょっといいことがあったりする時に利用することが多いです。そしてそのちょっと特別な時間、体験を身近にさせてくれる存在がこけし屋さんでした。
今回は建物の解体にともなって3年程度休業されてしまうこけし屋さんのこれまでの思い出を写真と一緒につらつらと書いてみます。良かったらおつきあいくださいね。
約10年前、私が田舎から上京して学生生活を送った街が西荻窪、その街にこけし屋さんはありました。当時おのぼりさんだった私はお店をなかなか開拓できずにいて、しばらくして様子を見に上京してきた両親と共に3階のレストランで食事をしたのが初めてでした。その時は緊張してどんな味だったのか全く思い出せません。
さすがにフランス料理をひとりで味わうことはその後ありませんでしたが(お財布的にも)、その帰りにケーキをお土産に持たせてもらい、おいしかったことと「これなら私でも入れる!」という謎の自信を持ったことで少しずつ利用するようになりました。さらに、私が民芸品のこけしを好きだったことも行くきっかけの一つとなりました。
そのうち本館2階の喫茶室がお気に入りの場所となり、ちょっと良いことがあった時や休憩したい時、親しい人と話す時に利用してきました。
午後のおだやかな時間、窓際にはこけしの並ぶ店内でコーヒーを飲みながら静かに新聞を読む人、おしゃべりに花を咲かせる人、そんな方々に混ざって過ごすひとときは大人の仲間入りをできたような気分で誇らしい気分でもありました。後年好きになった洋酒でひたひたのサバランなんてそれはもう…笑
学生生活を終えて西荻窪を離れた後も東京に残ることとなり、通る機会があれば電車を降りて足を運んでいました。あまりに当たり前すぎて写真もあまり撮っていなかったのが今となっては残念です。
包装紙や店内を飾る鈴木信太郎さんのイラストも好きで、ケーキやお菓子を買って帰る時に特別感を感じておりました。鈴木信太郎さんをめぐるあれこれは、また別の機会に書いてみようと思います。
故郷を離れ東京で生活を送る私にとって心の拠り所であり、安心して過ごせる場所と味であったお店と一度お別れすることになることは寂しいものです。
再開の目処となる3年という歳月がどのような変化をもたらすことになるか今はわかりませんが、また良い形で再会できることを願っております。これまでの感謝の気持ちと私の中での一つの区切りとして書かせて頂きました。本当にありがとうございました!
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