保護ネコとの出会い
あれは、太陽がたっぷり南中した昼下り。
僕らは、或るお寺の前にいた。
ローカル線の駅に近いこともあって、割と人通りがある開けた交差点から一筋だけ入った場所にあるそのお寺は、住宅街にはおよそにつかない山門がある。
そのすぐ隣に、保護猫団体が、飼い主を探していますと看板を立てていた。
我が家族はそんな看板に吸い寄せられるように、敷居をまたいだ。
なかでは何匹も保護猫が、かごみたいな仕切りにに入って、いろんな表情をしていた気がする。
長男が、一匹のキジトラ柄のねこをずっと見ていた。
次男は、百戦錬磨であろう巨大ぶちねこに、‘’シャー!‘’と、威嚇されていた。
ヒトもネコもおなじ。
選択は時に残酷で、むずかしいものである。
[1] そのまま帰る
[2] どちらかのねこをひきとる
[3] 両方のねこをひきとる
ふらっと、のぞいたんだから、きっと[1]となるのが常であろう。
お金もそんなあるわけじゃない。
命を預かるのは気が引けた。
いつか死んでしまうのも、嫌だった。
ねこアレルギーだったらどうしよう。
でも、それでもうちに来るかい??
ねこが、まんざらでもない顔をしていた。
結果、一匹のねこがうちにきた。
保護猫団体の方が、最後は泣いてお礼をしていたことが、なんとも記憶に刻まれる。
名前はもうついていたのでそのままにした。
きっとねこも、名前が変わったら嫌だろう。
次男と長男と、これからの世話を相談した。
トイレは頼む。
そんな保護猫との出会いだ。
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