【雄手舟瑞#34】インドひとり旅から戻ってきて
雄手舟瑞20歳。大学のテニスサークルのノリについて行けなかった。小さな社会で上下関係プレイを楽しみ、遊びプレイを楽しみ、普通プレイを楽しみ、社会プレイを楽しむ。
最初はプレイがしたくて入った。でもプレイに見えてきた時に急に冷めてしまった。むしろその他を認めないところに嫌悪感さえ感じた。
ならば彼らが夏合宿に行くならば逆のことをしてやろうと一人叛旗を翻す。そうせずには居られなかった。
たまたまコンビニ深夜バイトの先輩がインドに行った話を聞いていたので、逆のこと=初海外旅行かつインドひとり旅と思いつき、勢いでパスポートを取り、ビザを取り、航空券を取り旅立った。全部初めての体験。旅中もボッタクリに遭うわ、働くわ、皆既日食を見るわ、沐浴するわ、かけがえのない友人ができるわと濃い夏を過ごした。
夏休みが終わり、大学が始まった。いつものようにサークルのメンバーが集まるラウンジに行った。
皆んな僕の話を聞きたがるだろうと思っていた。この社会の中で中心になれる。
現実は違った。
皆んな夏合宿で誰と誰が付き合い始めたとか、飲み会で寝ゲロをしてたとか、誰と誰がいい感じだったとか前以上に紐帯は太くなっている。
疎外感。
ルールに乗ることを拒否した僕は当然プレイすることは許されない。分かってはいる。プレイできない自分に悔しかったのと、ルールに乗らなければ輪に入れないことの悔しさが入り混じる。
唯一、高校時代をロンドンで過ごしていた青井だけが声を掛けてくれて、笑ってくれた。
その後、他のメンバーとは会話をしても作り笑いをしてるのがお互いに分かった。3ヶ月後、僕はサークルを辞めた。
(つづく)
※次回は明後日更新の予定
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