【雄手舟瑞#36】心の友、進次郎との出会い
「おい雄手、コイツをお前に紹介したかったんだよ」
トラは何とも背が高く精悍な顔つきだが柔らかいオーラを持つ何とも雰囲気のある男を連れて来た。
「お前、ドラムやってんだろ。コイツ、進次郎って言うんだけど、めちゃくちゃギターうまいんだよ。今度一緒にやってみなよ」「進次郎、コイツ雄手。ドラムやってるから一緒にやってやれよ」
進次郎は気さくに、そして陽気な感じで「へぇー、雄手っち、ドラムやってんの??いいねぇー!今度スタジオ入ろうよー」と誘ってくれた。
僕は「ぜひぜひ」と答えた。「進次郎君は、どんな音楽やってるの?」と聞くと、即興演奏という答えだった。そこにいたもう一人の同級生のマサアキがサックスを吹き、ギターとサックスの二人で月一でライブをやっているという事だった。
ギターとサックスで即興演奏。NirvanaやWeezer, Radiohead, Summer Camp, Kula Shaker, The Jon Spencer Explosion といったポピュラーな洋楽のコピーバンドしかやっていない僕にとっては完全に未知の領域。「ぜひぜひ」と言ったもののちょっと不安になる。
進次郎は、すぐにマサアキにも声を掛ける。「マサアキー、雄手っち、ドラムやるんだって!今度3人でスタジオ入ろうぜ」
酔っ払ってるのか踊ってるのか分からない謎の動きをしながらマサアキが寄って来た。「へぇー、いいじゃん、いいじゃん!じゃ、スタジオ予約しちゃおっか。雄手っちは、いつもどこでスタジオ入ってるの??」
結局、進次郎とマサアキがいつも入っている秋葉原のスタジオで一週間後に入ることになった。
トラとの再会を果たした今日、トラのヒップホップのメンバーや同級生たちとの新たな出会いが生まれた。サークルとは違う。変な社会プレイはない。ミーハーで排他的な感じもない。不思議な人たち。なんか楽に楽しく過ごせるもう一つの居場所が見つかった気がした夜だった。
一週間後、シラフの状態で秋葉原のスタジオで進次郎とマサアキの二人に再会する。
(つづく)
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