「杜人 環境再生医 矢野智徳の挑戦」という映画を見て、循環について考える。
先日「杜人 環境再生医 矢野智徳の挑戦」という映画を見ました。
全人類が見るべき映画だと思ったので、共有したいと思います。
この映画は「地球のお医者さん」とも呼ばれ、全国を飛び回って傷んだ植物や大地の治療にあたっている、造園家で環境再生医の矢野智徳さんを追った、初のドキュメンタリーです。
うわべだけの環境問題に関するものではなく、「人間がこれからも自然と共存して生きていくための本質」が描かれている映画でした。
矢野さんの大地の再生手法は、自然が「循環」するように、植物の剪定や水の流れを整えます。
・「風が自然に流れる」ように、枝の長さを調整したり
・「水が自然に流れる」ようにシャベルで通り道を作ったり
荒れた庭では、枝の長さを「風の流れに合わせて」調整することで風が通り、呼吸が始まり、草木がイキイキと蘇ります。
水が溜まって泥状になっていた土地では、シャベルで水の通り道を作り、水を排出させることで、肥えた土に蘇ります。
シンプルなことですが、自然は循環しており、循環することで呼吸をし、元氣を保っていることを改めて思い知りました。
矢野さんの手入れで、草木の元気がない場所も、見違えるように復活していくのは圧巻です。
自然も循環するには「排出」させることがとても大事です。
排出しないのは、人間でいうと、ずっと便秘なようなもの。
現代のコンクリートによる国土開発は、水や空気の流れをせき止めてしまうので、水や空気の排出先を失っています。
人間が自然の循環をせき止めることで、自然は呼吸ができなくなります。
ダムや堤防なども、自然の呼吸を止めている良い例だと言います。
自然が呼吸できなくなり、我慢が限界になると、自然災害という形で、元に戻そうとします。
コンクリートによって水の排出先を失うことで、逆に水が溜まっていき、これに大雨が重なると、近年よくある大規模土砂災害に繋がると言うのです。
人間が利便性を重視した結果、自然災害という形で、自分に跳ね返ってきています。
ただ、矢野さんは言います。
「コンクリートは敵ではなく、空気の通り道さえ作ってやれば、大岩のような機能を果たしてくれます」
この言葉が印象的でした。
環境問題が騒がれ、自然災害が猛威をふるう昨今、私たちのちょっとした工夫で大地を甦らせ、共存していくことができるかもしれない。
私はこの映画を見て、環境問題だけではなく、これからの生き方についての方向性も見えるようになりました。
人の体も自然と同じで、循環しないと生きていけません。
合氣道でも「水と同じで、氣の流れが滞ると病気になりやすくなる」と教わりました。
水は流れていると腐りませんが、コップの水やペットボトルの水がそうであるように、流れが止まると腐ります。
流すにはまず「出す」こと。
呼吸でも食事でも「排出」しないと新しいものは入ってきません。
・長く深く息を吐くこと
・たくさん食べることよりも、出せる体をつくること。
お金も同じで、貯めこむのではなく、使うことで入ってくる。
全ては循環が大事なんだなと。
などなど、大地の再生を通じて、人生についても学びました。
映画終了後には、監督の前田せつ子さんの舞台挨拶がありました。
前田さんは矢野さんのことを、ずっとドキュメンタリー映画にしたかったそうですが、映画制作の技術がなく一歩を踏み出せずにいたそうです。
しかし「想いは技術に勝る」という言葉に、一念発起して撮り始めたそうです。
500時間も撮り続けた監督には脱帽ですし、大きな想いは伝わりました。
ご興味のある方は、ぜひご覧ください!
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