【経理マン直伝】「数字」のとらえ方〜イメージに騙されるな〜
ちまたにあふれている数字。
価格や時間など、私たちは普段から数字を見てモノゴトを判断することが多いですよね。
ビジネスの世界でも数字は切っても切り離せないもの。
「売り上げはどうなんだ?」
「利益はなんぼ出たんや?」
数字は「ボリュームを可視化したもの」です。
企業の宣伝広告やメディアの報道などにも数字が多用されています。
数字を用いて説明することで、イメージしやすく説得力が増し、人々の行動を促しやすくなるからです。
ただ、経理の仕事をやっていて思うのが、数字をイメージだけで捉えては判断を誤るということです。
企業やメディアが発信する数字は、発信する側が受け手である私たちに、なんらかの行動を促したい意図が含まれています。
もちろん企業は商品を売りたいですし、報道にも伝える側になんらかのメリットがあるからその情報を伝えるのは当然のこと。
ただ消費者の側に立って考えると、その数字に疑問をいだくことも多々あるので、鵜呑みにせず、少し考えてみることも必要かと思います。
たとえば、化粧品の宣伝で、
「100万個売り上げ達成!」
とだけ書いてあったとして、それがすごいのかどうかって判断できますか?
100万だからすごいんじゃない?
とイメージだけで判断すると、行動を見誤ります。
実はライバル化粧品は200万個売れてるかもしれませんし、「10年間で」100万個しか売れていないのかもしれません。
このように数字の「絶対数」だけ見ても、本来はその良し悪しが判断できないので、イメージでしか捉えることができませんよね?
比較対象がないと、それがすごいのかどうかはわからないはずです。
でもなんとなく「すごいんだろうな」と思わせて、買ってしまうのが世の人の常です。
このように、情報の受け手である我々が、数字に翻弄されず、数字をうまく捉え、適切な行動ができるためのヒントとしてこの記事を書きました。
「数字の捉え方」を知ることで、無駄なものを買わされなくなったり、冷静に判断・行動できるようになればと思います。
①同条件のものと比較する
1つ目は同じ条件で算出されたもの(ライバル、過去など)と比較してみることです。
先ほどの「100万個売れてます!」であれば、ライバル会社の同じ成分の製品の売り上げと比較して多いのか少ないのか。
前年の売り上げ個数と比較して、増えたのか減ったのか、など。
数字は比較することでしか、良し悪しが判断できません。
②全体の総数(母数)を確認し「率」で考える
2つ目は、全体の総数(母数)を確認し「全体に占める割合がどのくらいなのか?」を考えることです。
絶対値だけでは判断できないこともあります。
全体(総数)がどれくらいで、その何%を占めているのかを考えると冷静に判断できます。
例えば塾の広告で、
「当塾の生徒100人が東大合格!」
とあったとして、この塾で東大を受験した人が100人であれば合格率100%ですが、10,000人であれば合格率1%です。
このように、その数がすごいかどうかは母数がわからないと判断できません。
広告だけでなくテレビや新聞の報道も同じですが、絶対値だけで判断しないこと!
「東京都で○○をした人が1,000人もいました」
と書いてあっても、○○をしていない人が2,000人いるかもしれません。
率でみると、東京都の総人口14,000,000人のうち1,000人(0.007%)なのかもしれません。
③数字の計算トリックを確認する(日・月・年)
3つ目は「いい数字に見せるトリック」を見破ることです。
例えば
「10秒に1個売れてます!」
って広告よくありますよね?
これを計算し直すと、
【1日に売れた数】
60秒✖︎60分✖︎24時間=86,400秒
86,400秒÷10秒=8,640個(1日に売れた数)
【1年で売れた数】
8,640個✖︎365日=3,153,600個
です。
これが果たして良いのか悪いのかは、他と比較してみないとわかりません。
他にも、
「月々たったの3,000円!飲み会1回節約すれば捻出できます!」
⇨年間だと36,000円かかります。
売りたい側としては、売りたいものは「年額」ではなく、より絶対数の小さい「月額」を提示します。
よって、頭の中で計算してみて判断することも重要です。
④データの出どころを確認する
4つ目は、その数字(データ)の出どころを確認することも大事です。
例えば、
「顧客満足度No1」
とあっても、どこのデータを使っているかで信頼性が変わってきます。
自社調べなのか、雑誌の特集なのか、業界団体の調査なのかなど、出どころによっては信頼性が低いものもあります。
他にも、
「9割以上が満足と回答!」
⇨それは誰に聞いたの?(母数は?)誰が聞いたの?
「どちらかといえば満足」も満足としてカウントしてない?
などなど、どんなデータを用いているのか、少し考えてみることで良し悪しが判断できます。
⑤その商品の値段が、値段に見合った「価値」かどうかを考える
5つ目は、その商品の値段が「本当にその値段に見合った価格になっているか(価値があるか)」を考えましょう。
「定価100,000円のところ、今なら39,800円!」
なんて通販などでよくありますよね。
これは行動経済学で「アンカリング効果」といいます。
はじめに高い値段を見せておいて、あとから低い値段のものを見せると、めちゃくちゃお得に感じてしまい、ついつい買ってしまう心理です。
でも39,800円って本当に安いのでしょうか?
ライバル商品はもっと安いかも?
そもそも定価100,000円って高くない?
そんな疑問を持ちつつ、そのものの価値を正当に値段に反映しているのかどうか、を考えることも大切です。
値段の安さではなく、その商品の価値に納得した上で、正当な対価を払うことが重要なのです。
【結論】情報を鵜呑みにせず疑問を持つこと
結論としていえるのは、日頃から情報には疑問(なぜ?どうして?)を持つことが大切かと思います。
「クリティカルシンキング」といいますが、自分自身を客観視(俯瞰)することで、自分の考えや思い込み(前提条件)を批判的に検証し、論理を固めることができます。
クリティカルシンキングを見につけることで、以下のメリットがあります。
・物事を体系立てて適切に説明できるようになる
・物事の目的・全体像を捉えられるようになり、本質を理解できる
・あふれる情報の中から、適切な情報を選択して解釈できるようになる
消費者である私たち自らが考えて判断し、単なるセールストークに騙されず、自分が心から納得できる「良い商品」を見極めましょう。
良い商品にお金を使うことは、良い商品を作る企業の成長を応援することになります。
そうすることによって、社会全体がよくなっていくのではないでしょうか?
本noteが判断基準の一助となっていただけたら幸いです。
ちなみにクリティカルシンキング・ロジカルシンキングはここで鍛えました👇