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NGTチーム3人の軌跡

ユニット戦で初代チャンピオンの座を勝ち取ったのは、下馬評通りNGTチーム(清司麗菜、三村妃乃、新井りりの)でした。

予選を1位で通過して、決勝中間発表では秋吉優花が率いるHKTチームに逆転され、最後に再逆転して優勝を勝ち取ったわけですから、かなり熾烈な戦いでしたよね。
そんな中で印象的だったのが、優勝が決まった瞬間に泣き崩れた清司麗菜の姿でしょうか。

NGTチームのユニット戦優勝は、個人戦もユニット戦も優勝してやろうという勝負師・秋吉優花の2冠狙いの野望と交差しながら、ドラマチックな物語を展開していました。
その物語はまた、三村妃乃の闘いの物語であり、清司麗菜の再起の物語であり、新井りりのの挑戦の物語でもあったわけで、三者三様のそれぞれの物語を包含していたわけです。

今回の大会では、個人戦でNGTは全滅してしまいましたから、ユニット戦で優勝する以外にNGT48の名を残せなくなっていたのですよね。
三村妃乃としても、これまで3大会連続でファイナリストになっていますから、何が何でもユニット戦で優勝して、今回もファイナリストLIVEに出たいという気持ちが強かったはずです。
さらに今回は、NGTの他のメンバーたちを、あのステージに連れていきたいという大きな目標もありましたから、個人戦で敗退したからといって、いつまでも落ち込んでいるわけにはいかなかった。

NGTのメンバーをファイナリストLIVEのステージに連れて行きたいというのは、前回大会が終わった直後から、彼女が口にしていた話。
彼女にしてみれば、NGTの歌姫として誰もが認めてくれるようになったのは誇らしいことではあったのですけれども、一方で、NGTには歌える人が三村妃乃しかいないとも言われるようになってきたことに対して、もどかしさも感じていましたし、他にも魅力的な歌声を持ったメンバーがいるのに悔しいという気持ちもあったわけです。

「どうせ出ても決勝にも行けないから出ない」と言って大会への不参加を決める仲間も少なからずいて、彼女としては、それが残念でしたし、グループ内のそういった風潮も変えたいという気持ちがあったのだろうと思います。
今まで自分1人しか経験していないファイナリストLIVEのステージを、他のメンバーたちも実際に体験してみれば、意識も変わってくるのではないかと考えたのではありませんかね。
もちろん、あのライブの楽しさを味わわせてあげたいという気持ちもあったのでしょう。

思えば歌唱力No.1決定戦では、三村妃乃はずっと1人でNGTを背負ってきたのですよね。
第2回大会で、無名の研究生だった三村妃乃は、まだNGTへの逆風が吹き荒れる中、たった一人で決勝大会に出てきました。
おそらくこのときの彼女は、アウェイな場に引きずり出されたような心境だったのではありませんかね。
しかも、加入以来これまで大きなステージに立った経験もなく、その緊張感やプレッシャーたるや尋常なものではなかったはずです。
けれども、彼女はそういった重圧をはねのけて、見事に3位を勝ち取ったわけです。
この結果は、NGTにとっても大きな意味があったはずです。
それまで纏わりついていたマイナスイメージを払拭ふっしょくするのに、少なからず寄与きよしたでしょうから。
さらに、この大会の結果を受けて、彼女のSNSのフォロワー数も大幅に増えたと言いますから、彼女が入り口となってNGTに再び関心を持ってもらえるようになったというケースも少なくないのではありませんかね。

この大会は、彼女自身が言っているように、彼女がNGTに加入した直後に開始されて、足並みをそろえるかのように共に歩んできているわけです。
それだけに、思い入れはとても強い。
NGTを代表して来ているという自負もありますし、NGT唯一のファイナリストとしての意地もある。
それだけに、どうしても負けるわけにはいかない闘いなのですよね。

清司麗菜は、初期メンとしては佐藤杏樹と並んで、NGTの中では歌唱メンと目されていたような人で、本人としても歌は大好きで、それなりに自信もあったのだろうと思います。
けれども、歌唱力No.1決定戦では、第1回から出場して3回連続で予選落ちしてしまい、自信を失いかけていた。
そのせいなのか、第4回大会には出場しませんでした。

このまま心が折れて、もう出てこないのかなと思っていたのですけれども、ユニット戦が行われることになって、すかさず三村妃乃が彼女に声を掛けたわけです。
最初は乗り気ではなかったものの、三村妃乃の再三再四の誘いに、もう一度頑張ってみようという気持ちになって、参加することに決めたようです。
三村妃乃にしてみれば、同じグループ内のメンバーで組むとなると、1人は清司麗菜をおいて他にはいないという思いから、熱心に口説いたのでしょう。

NGTは、個人戦では全滅してしまいましたから、ユニット戦に専念するしかなくなったのですけれども、そのぶんユニット戦に向けた練習には十分な時間を費やせたわけです。
個人戦とは違い、1人でやみくもに頑張る必要がないぶん、気持ちはだいぶ楽だったのだろうと思います。
清司麗菜は、その練習を通じて次第に歌うことの楽しさを取り戻していったのでしょう。
ユニット戦で歌っているときの彼女の姿は、本当に楽しそうでした。
そして、見事優勝を手にしたわけです。
彼女にしてみれば、1人では結果を残せなかったけれども、3人で力を合わせて優勝を勝ち取れたわけですから、感無量だったと思います。

新井りりのは、ユニット戦に誘われた時点では、NGTに加入してまだ日の浅い新人。
2人の先輩とはほとんどまともに話したこともない間柄だったようで、かなり勇気が要ったでしょうね。
ただ、彼女もまた、先輩2人と同じく歌が大好きで、しっかりと歌にも取り組んでいきたいということを口にしていましたから、思い切って飛び込んでみたのでしょう。

それでも、はじめのうちは自信をもって取り組めていたわけではないようですね。
ただ、三村妃乃のこの大会に懸ける情熱は生半可なものではなく、それが新井りりのにも伝播して意識が変わっていったのではありませんかね。
ユニット戦の練習において、3人で充実した時間を過ごすことにより、彼女は先輩2人から多くのことを吸収したはずです。
もともとストレートで綺麗な歌声の持ち主ですから、テクニカルな面でのレベルアップが図られれば、個人戦でも十分上位に食い込んでいけるだけのポテンシャルは秘めているのではありませんかね。

今回のユニット戦の経験により、「自分自身が変わった」とも「すごく自信が付いた」とも話していましたから、今後の歌唱力No.1決定戦において、彼女がどんな歌声を聴かせてくれるようになるのか、とても楽しみです。
ファイナリストLIVEのステージ上で、最後に「これからも歌にこだわっていきたい」と力強くコメントしていた彼女が印象的でしたね。

第5回AKB48グループ歌唱力No.1決定戦・ユニット戦
NGTチーム(清司麗菜、三村妃乃、新井りりの)歌唱曲

予選 『たばこ』(コレサワ)
 1位通過

決勝1曲目 『点描の唄』(Mrs.GREEN APPLE)
 2位通過

決勝2曲目 『好きだ。』(Little Glee Monster)
 優勝

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