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平和への祈り ~NGT48『世界はどこまで青空なのか?』~
この曲は、NGT48の2ndシングルの表題曲です。
2018年の48グループのリクアワで1位に輝いた名曲でもあります。
何年か前の曲になるのですけれども、昨今の世界の憂うべき状況を考えてみると、今だからこそ再注目されても良い曲なのではありませんかね。
最近で言えば、STU48の「花は誰のもの?」と一脈相通じるものがあるように思うのですが、いかがでしょうか?
ああ 世界はどこまで青空なんだろう?
ああ ここから地平の彼方に目を細めた
ああ どこかで誰かが泣いてはいないか?
ああ 日差しがこのまま続けばいいけれど…
「青空」は、言うまでもなく「平和」を象徴しているのでしょう。
そして、「世界はどこまで青空なのか?」という問いかけには、複雑な心情が表されているのではありませんかね。
世界はどこまでも平和であってほしいという希望と期待。
けれども、世界のどこかでは戦争が起こり、災害が起きているという現実に対する憂いと不安。
「地平の彼方に目を細めた」というのは、遠い世界に思いをはせて、平和なのだろうかどうなのだろうかと想像しているのでしょう。
そして、「どこかで誰かが泣いてはいないか?」とあるように、世界には悲しみや苦しみを抱えている人がいるのではないだろうかと案じているわけです。
「日差しがこのまま続けばいいけれど…」というフレーズには、どこか懐疑的なニュアンスが感じられますよね。
平和な状態がずっと続いていて欲しいけれども、そうなってくれるだろうかという懸念。
そんな懸念を抱きながらも、平和を願わずにはいられないということなのではありませんかね。
晴れていて欲しい 澄み切って欲しい
悲しみは風に流されて…
何もない空を 美しい空を
青空を僕は信じる
悲しみや苦しみを消し去って、澄み切った美しい世界であってほしいという願いを表しているのでしょう。
そして、「何もない空を」、「美しい空を」、「青空を」と畳み掛けて、それらを信じるというわけです。
つまり、何の翳りもない美しい平和な世界が訪れることを信じている、と言いましょうか、信じたいということなのではありませんかね。
ああ 突然 予期せぬ嵐が来たって
ああ あなたは絶望なんかしてはいけない
この曲の歌詞には何かストーリーがあるわけではなく、ある種の主張がなされているのですよね。
したがって、歌詞の中で語りかけているのは、物語りの主人公というわけではなく、抽象的な語り手ということになります。
ここの歌詞に登場する「あなた」というのも、誰か特定の人を指しているわけではなく、不特定多数の聞き手のことを指していると考えてよいのでしょう。
つまり、ここで言っているのは……、
ある日突然、あなた方にも何らかの災厄が降りかかってくるかもしれない。
それは、自然災害かもしれませんし、もしかしたら戦争かもしれない。
ひょっとしたら、テロに巻き込まれることだってあるかもしれない……。
そんな災厄に見舞われたとしても、あなた方は決して絶望してはいけない。
ということなのではありませんかね。
待っていて欲しい 見上げてて欲しい
この空は 立ち直って行く
太陽は昇り そしてまた沈み
永遠に光り輝く
前段の歌詞と呼応しているのでしょう。
予期せぬ嵐が来ても、この空は必ず回復するから、見上げて待っていてほしい。
太陽は昇っては沈んでいくことを繰り返しているけれども、永遠に光り輝いているではないか。
その永遠に光り輝いている太陽というのは、「希望」を象徴しているのでしょう。
いかなる災厄に見舞われようとも、希望さえあれば、人々はどん底から這い上がり立ち直れる。
だから、絶望してはいけないということなのでしょう。
オーオーオーオーオー
オーオーオーオーオー
遠くまで愛を伝えよう
オーオーオーオーオー
オーオーオーオーオー
たった一つだけの真実
悲しみや苦しみを乗り越え、希望を持って前に進んでいくためには、愛の力が必要。
その愛のメッセージを世界に届けようではないかということなのでしょう。
そして、「たった一つだけの真実」というのは、その「愛の力」のことではありませんかね。
「愛の力」とは、何かを大切にしたいという強い思いのことと言って良いのでしょう。
恋人よ 星を見ているか?
新しい明日の兆しを
すべてを真っ暗にしてから
みんなでやり直そうぜ!
ここでの「恋人」というのも、誰か特定の人物を指しているわけではないのですよね。
また、星が見えるということは夜で、空は晴れているということになり、明日の青空が期待できるということになるわけです。
つまり、前半2行のフレーズで言っているのは、大切な人との絆や愛を胸に明日を信じようということではありませんかね。
「すべてを真っ暗にしてから」というのは、どん底からの再スタートということを意味しているのでしょう。
したがって、後半2行のフレーズで言っているのは、みんなで力を合わせて、これから新しい未来を切り拓いていこうではないかという決意の表明ということになります。
ああ 世界はどこまで青空なんだろう?
ああ ここから涯(はて)まで真っ青ならいいのに…
再度、世界はどこまで青空なのかと問いかけているわけですけれども、ここでは、「ここから涯(はて)まで真っ青ならいいのに…」と、平和な世界へのさらなる強い願いを表わしています。
微笑んで欲しい 泣かないで欲しい
しあわせになって欲しいんだ
嘘のない空を 限りない空を
駆け巡る鳥が希望だ
ここの歌詞の前半も、特定の誰かに向けての言葉ではなく、みんな幸せになってほしいという願いを表しているわけです。
「駆け巡る鳥」というのは、「自由」を象徴しているのでしょう。
つまり、平和であればこそ自由を謳歌できる。
そのことが「僕たち」の希望だということなのでしょう。
オーオーオーオーオー
オーオーオーオーオー
僕たちは叫び続けよう
オーオーオーオーオー
オーオーオーオーオー
争うことのない世界へ
青空を僕は祈ろう
だから「僕たち」は声高に叫ぶわけです。
争いのない平和な世界へと。
そして、「僕」は平和を祈る。
引用:秋元康 作詞, NGT48 「世界はどこまで青空なのか?」(2017年)