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やり直せばいいじゃないか ~AKB48『すべては途中経過...』~
この曲は、AKB48の8thアルバム「サムネイル」に収録されている曲で、武藤十夢がセンターを務めています。
ファンからもメンバーからもわりと人気が高い爽やかな曲です。
1番Aメロ
まだ工事中のビルの屋上で
背の高いクレーンだけがシルエットになる
夜明けは静かに(東の空)
そっと近づいて(街の端に)
新しい希望と勇気をくれるんだ
夜明けの情景描写ですね。
空が白み始めるにつれて、工事中のビルの屋上にあるクレーンがシルエットとなって浮かび上がってくる。
朝の早い時間ですから、クレーンはまだ動いていないのですけれども、これから作業が始まって動き出すのでしょう。
つまり、ここでのこの情景は、これから何かが始まろうとしているということを表していることになります。
そして、「夜明けは静かに そっと近づいて」というのも、暗い過去から抜け出し、明るい未来への兆しが見えてきたということを示しているわけです。
そうした中で何やら前向きな気持ちになってきて、希望と勇気が沸き上がってきたといったところでしょうか。
1番Bメロ
ざわざわした不安のせいで眠れなかった
カーテンの外の世界 リスタートするよ
だから
いろいろな悩みや不安を抱えて眠れぬ夜を過ごしたけれども、新しい朝を迎え、気持ちも新たにリスタートする決意をしたわけです。
1サビ
人生は何度でも
ゼロから始められる
どんなマイナスも途中経過
ああすればよかったと
後悔をしているなら
過去なんて忘れて
自分に言うんだ
『今日やればいい』
何か失敗したところで、生きている限り何度でもやり直せる。
本人がその気になりさえすれば……。
「ゼロから始められる」というのは、すべてをリセットしてしまえば、まっさらなところから再度始められるということなのでしょう。
ただ、自分自身について考えてみると、失敗しようが成功しようが、そこに至るまでの経験とその過程で獲得された知識が、自分の中に蓄積されているわけです。
ですから、もう一度やり直すにしても、それらを糧にすることができる。
何がしかの力が身に付いた状態で再スタートできるのですから、そのぶん成功に近づいていることになるわけです。
それが「成長」ということになるのではありませんかね。
いずれにせよ、失敗したからといってそれですべてが終わりということでもなければ、成功したからといってそれで人生のゴールというわけでもないのですよね。
長い人生において、ひとつの「失敗」や「成功」は、次のステップへの途中経過にすぎない。
あれやこれやと過去を悔やんでみても、過去を変えることはできないのですから、未来に目を向けて今できることを精一杯行うということが大切なのではないかと、ここでは言っているわけです。
2番Aメロ
太陽は昇り 窓に反射して
存在を教えるように語りかけてる
誰かがいつでも(風の中で)
ちゃんと見守って(片隅から)
これからの夢とか愛とかくれるんだ
太陽は、私たちを光で照らし出し、力を与えてくれるような存在。
家族だったり友人だったり恋人だったり、あるいは自分を応援し支えてくれる人たちのことを象徴しているといって良いのでしょう。
そういった誰かがいつも見守ってくれている。
その安心感が、私に夢や愛を与えてくれる。
2番Bメロ
期待されるプレッシャーで失敗しても
カレンダーめくるだけで すべてが変わるよ
だから
周囲の期待に応えられなくて失敗したからといって、くよくよすることはない。
そのときは落ち込むかもしれないけれども、時間が経てば状況は変わってくるだろうし、落ち着きを取り戻した自分の気持ちも変わってくるもの。
2サビ
人生は長いんだ
マラソンみたいなもの
過去はその一瞬ときの途中経過
出遅れたタイムなら
この先で巻き返そう
いいタイム出せても
いい気になるなよ
『明日は明日』
人生はマラソンのように長い道のりであり、すぐに結果が出るわけではありませんよね。
過去の出来事は、そんな長い道のりにおけるほんの1コマにすぎないわけです。
スタートで出遅れようが、途中で躓こうが、諦めさえしなければ、後からいくらでも挽回できる。
逆に今、誰よりも先を走っているからといって、いい気になっていると、いつの間にか追い越されていたりもする。
明日は明日でまた新たな1日が訪れるのだから、今できることを精一杯行うことが肝要ということでしょう。
Cメロ
最後までわからない
未来の展開
順位は運次第
まわりと比べるな
まだまだ 先は長い
やり直せるさ
走り続けろ!
未来は誰にも予測できない。
それは不安なことではあるけれども、一方で好奇心や期待を掻き立てるものでもあるわけです。
だからこそ、人生には面白味があるとも言えるのかもしれませんね。
ところで、直前の2サビでは、出遅れても取り戻せるとか、良いタイムでもいい気になるなとか、結構順位を気にしているようなことを言っている割には、ここでは「順位は運次第 まわりと比べるな」とあって、なんだか矛盾した物言いのようにも受け取れますけれども、2サビで言っているのは、どんな順位であろうとも、つまりどんな状況であろうとも、常に今できることを精一杯やりましょうということを言っているのですよね。
ここのCメロでも、他人と比較して順位がどうなったと気にしてみたところでしょうがないということを言っているわけです。
自分は自分のペースで精一杯のことをやるだけ。
人生は長いのだから、上手くいかないときもあるけれども、諦めずに何度でもやり直せば良いではないかということでしょう。
ラスサビは1サビの繰り返しになっています。
生きていれば、様々な困難や挫折に遭遇することになります。
けれども、人生は長いのですから、諦めさえしなければ何度でもやり直せる。
過去にとらわれず、未来に目を向け、今できる精一杯のことをやることこそが大切なことなのだと、この歌は伝えているのではありませんかね。
引用:秋元康 作詞, AKB48 「すべては途中経過...」(2017年)