自分の信念を貫いて生きる ~NGT48『空き缶パンク』~
この曲は、NGT48のデビューシングル『青春時計』のカップリング曲になります。
偽善や欺瞞だらけの社会に反発し、その不満や怒りを叩きつけたようなロック調の激しい曲です。
ところでこの曲、センターで歌っているのは、柏木由紀なのですよね。
『夜風の仕業』のあの柏木由紀が、こんな激しい曲も歌っていたのかと思うと意外と言いましょうか、驚きですよね。
なにせ、曲中で「くたばれ!」と叫んでいるのですから。
なんとも振り幅の大きい人ですこと……。
1番Aメロ
夢だの希望だのと聞こえの良いことを優し気に語りかけてくる者たちの、嘘くささや胡散臭さを鋭く嗅ぎ取っているのかもしれませんね。
そして、「学校」に象徴される既存の権威や秩序といったものの欺瞞性に対して、強烈な反発心を抱いているといったところでしょうか。
確かに、子供よりも大人のほうが、長く生きているぶん人生経験も豊富ですし知識の量も多いでしょう。
けれども、それをもってして大人の言っていることが常に正しいということにはならないわけです。
あくまでもその時代、その社会、なんならその「村」の中における常識や価値観に基づいた「正しさ」であって、それは必ずしも普遍的かつ絶対的な「正義」とは限らないわけです。
そもそも、絶対的な「正義」など存在しませんし……。
だいたい、なにやらもっもともらしい「正義」を振りかざしてくる輩の偽善性や胡散臭さといったら、本当に鼻もちなりませんし、鬱陶しいといったらありやしませんしね。
1番Bメロ
偽善や欺瞞だらけの世の中に対して反抗的な態度をとれば、そういった秩序の中で生きている大人たちは、自分たちが否定されたと考えて怒るわけです。
さらには、自分たちの慣れ親しんだ価値観が破壊されるのを恐れて、執拗に抑えつけにかかってくる。
けれども、そのような大人たちに迎合することなく、自分の信念を貫いて生きていこうとしているわけです。
1サビ
「空き缶」というのは、中身が空っぽな者たちのことを揶揄しているのでしょう。
中身が空っぽな者たちとは、偽善や欺瞞にどっぷりと浸かった世界に生きている大人たちや、そういった者たちに迎合している者たちのことを指しているわけです。
一方、そういった中身が空っぽな者たちに反抗する自分たちの姿を「迷惑なパンク」と表現している。
「歌うぜ!」というのは、自分たちは、あくまでも自分たちらしさを貫いてやるという決意の表れなのでしょう。
2番Aメロ
適当に妥協したり迎合したりすることで世の中はうまく回っていくのだと言いたいのかも知りませんけれども、そんなことを言っている当の本人が、自分の無気力さを自覚しているものですから、思わず作り笑いなど浮かべてしまう。
ここでは、そういった人に対して「腑抜け野郎!」と罵倒しているわけです。
思考停止して同調圧力に流されてしまうような、そんな生き方などしたくはないということなのでしょう。
2番Bメロ
現代社会における物欲は、生きる上で必要に迫られたものというよりも、企業が金儲けのためにメディアを使って無理やり過剰に増幅させた欲望なのですよね。
つまりそれは、他者にコントロールされた欲望ということです。
そんなものに囚われて生きるよりも、もっと自由な心で自分らしく生きていきたいということなのでしょう。
また、自分の欲しいものは、お金には替えられないものだということでもあるのでしょう。
「俺に値札をつけるな」というのは、「価値」を何でもかんでもお金で換算するなということを言いたいのではありませんかね。
2サビ
ここで言っている内容は、1サビと同じような内容ですね。
中身が空っぽな人間として生きるくらいなら、「面倒なパンク」として反抗的な姿勢で自由に生きてやるということでしょう。
Cメロ
世の中に迎合して、自分を偽って生きていくことなどできやしない。
欺瞞に満ちた綺麗事なんかに騙されてたまるか。
泥水をすすってでも、自分の信念を貫いて自分らしく生きてやる。
といったところでしょうか。
Bメロ
人生などたかが知れているのに、この社会でそれなりに成功を収めたつもりになっている大人たちは、なにを勘違いしているのか、偉ぶって上から目線で説教を垂れてくる。
そんなものは聞く気にもならないということでしょう。
大サビは、1サビと2サビの繰り返しになっています。
世の中に迎合して空虚に生きていくのではなく、周りから白い目で見られようとも、自分の信念を貫いて生きていく。
そういった強い決意表明がなされています。
ところで以前、NGTのユニット公演のひとつである「さあやギター」公演に、三村妃乃がゲストボーカルとして参加して、この曲を川越紗彩のエレキギターの演奏で歌ったことがあるのですけれども、これがなかなか良かった。
当人は、ロックはどう歌ったら良いのかよくわからないと言っていましたけれども、歌唱力は今さら言うに及ばず、声量もある人ですから、声を張り上げて叫ぶように歌うと、めちゃくちゃカッコイイ。
できたら、この曲を川越紗彩のエレキギターと三村妃乃のボーカルでリメイクして、カップリング曲という形でもいいですからレコーディングしてほしいものです。
引用:秋元康 作詞, NGT48 「空き缶パンク」(2017年)