その瞬間を極めること
もうすぐLAからアクティングコーチの
イヴァナチャバックが来日する。
私は彼女との出会いで
演技の技術以上のことを学んだ。
日本にも彼女の演技術を
伝える人や使う人は本当に増えてきた。
彼女がなぜ多くの人から支持され、
スターをも魅了するか。
それはカタルシスを彼女が
起こすからなのだ。
人間の麻痺した心には
カタルシスは起こらない。
私は演劇や音楽には
そもそもカタルシスを起こす力はあると思う。
そして、それを表現する
表現者自身が自らの感情を感じきる力と
その感情の源に光をあてる能力がなければならない。
現実を生きる私達は
現実に意味を持たせたがるものだ。
そして現実の事象にこだわり続ける。
最近、大切な人達が次々と逝ってしまう。
生きて、死する人間のリアルをあまり人は
実感していないのかもしれない。
悲しみ、痛みを感じきる中で
私はカタルシスを起こす
自分を感じる。
どんどん深い心に降りていき
もはや深い海底から海面という現実を見上げて
こんなに海底は静かなのに
現実とは艶やかに滑稽に動いているとしか感じないのだ。
そして
『今この瞬間』とは
この海面と海底を繋ぐところに存在する。
それを表現することが
俳優や歌い手の仕事のひとつだと感じる。
技術的に、またキャラクターや
個性に溢れる俳優の方を心から尊敬する。
そして、それ以上に
人間の内奥にこそ『表現の源』はある。
美とは表出された周波数であろう。
寸分違わぬ、表現に必要な自分という人間を味わいきることが
この世の無常すら美に変える。
芸術家達は歴史にそれを残すことで
私達にたくさんのことを伝えているのだと感じる。
『瞬間』が煌めくのだから。
2018年にロサンジェルスでイヴァナのワークを受けてから
本当に久しぶりに彼女に直接触れる。
今回、互いに進化しセッションが
起きることに胸が高鳴る。
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