Vol.9【助けてくれ】
突然、同期の友人から連絡があった。
いつもより低く、震えた声。
なぜか嫌な予感がする。
その場で待機するように伝え、
私はすぐさま車を走らせた。
バス停に着いた時、彼はうずくまっていた。
私を見つけた瞬間、安心した表情を見せる友人。
少し道なりを歩き、心を落ち着かせ、
ゆっくり話を聞いて行く。
話を聞いた後に感じた
仕事を辞めたいという言葉の裏に、
仕事を続けたいという意志。
どの言葉が彼にとって正解なのだろう。
彼 仕事を辞めたい。
私 辞めれば良いんじゃないか?
彼 なぜ?そんなに簡単に辞められない。
私 君は自分の意思に従えば良い。
君がいなくなれば僕もライバルが減る。
お互いにとっても良い選択じゃないか?
彼 君は最高で最悪な同期だな。
辞めるわけにはいかない。
君に勝つまでは。ね。
私のかけた言葉が正しかったのかは分からない。
ただ、目に涙を溜めながら、一言一言噛み締めて話す彼からは、何か決意のようなものを感じた。
彼は私にとって最高の同期であり、友人であり、ライバルだ。
私は彼と共闘しながら歩んでいきたいと思う。
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