時空を超えたダンスとミュージックの空間世界 「舞楽図屏風」 (俵屋宗達 17世紀)
(「美の巨人たち」テレビ東京放映番組<2015.5.30> 視聴しての私の感想コメント)
かって、三島由紀夫が「もっとも均衡のとれた豪奢」と絶賛したという本作品。
日本美術の最高傑作のひとつ。
絵画の中での「配置」の絶妙なセンス。「色彩」の変化で、リズムを創りだしている。さらには、「視線」がつなぐ阿吽の呼吸とでもいおうか。
また、「この絵画で音楽を奏でる」と言ったら、言い過ぎであろうか。アンリ・マチスとの共通点も多い。
つまりは、「芸術が純粋であろうとすると、装飾化、単純化、色彩で、感覚に訴える」
舞と音楽、配置と視線、色彩とリズムのどれをとっても、これは絵画でありながら、形を変えた「音楽」そのものと映るのである。
一方、肝心の「俵屋宗達」そのものといえば、人物、生年不詳など、詳細がわからないままになっている、いわば謎だらけの絵師でもある。
「採桑老」「納蘇利」「還城楽」「蘭陵王」といった舞楽の踊り手たち。
古いのに、常に新しさを感じる豊かな空間がここにはある。つまりは、宗達は、古典を壊すことに少しの躊躇もない。
理想的な空間演出を、こともなげに成し遂げてしまう、いわば「総合プロデューサー」の存在そのものなのかもしれない。
絵そのものから、こんなに音楽性を、空間の自由な世界とその感性を感じ取れたのは、他にはないのでは・・・久々に感動のため息をついた。
写真: 「美の巨人たち」テレビ東京放映番組(2015.5.30)より転載。同視聴者センターより許諾済。
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