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ヘラルボニーを見て、言葉は短く、シンプルなほど力を持つんじゃないかと思った


「この子より、先には死ねない」


8年前、教員採用試験の受験のため教育委員会に送った、自己PR文の最初の1行に、ぼくはこの言葉を書いた。


なんとなく分かると思うが、この言葉は、ぼくが言った言葉ではない。

学生時代、子どもの放課後支援のバイトをしているときに出会った、とある知的障害のある子どものお母さんから聞いた言葉だ。


もちろん、この言葉どおりの発言があったわけではない。

教育委員会に届くであろう何百という自己PRの書類の中で、いちばん輝く文章を書きたかった。

だから、そのお母さんの口から聞いた「わが子より先に死んでいくことへの不安」が一番伝わるよう、短く、訴求力のある文章にするため、このワンフレーズを書いた。


思えば、これが「誰かの言葉を聞いて文章を書き、伝える」という、ぼくにとってはじめてのライティングのような、編集のような経験だったと思う。



ぼくは言葉の力を信じている。


昨日、ヘラルボニーの採用イベントに参加してみて、こんなに言葉の力のある会社が今まであっただろうか、と驚いた。


「異彩を、放て。」

「この国の障害は障害者という言葉だ。」


ヘラルボニーの言葉の数々は、痛烈で、ユーモアとウィットに飛んでいて、エミネムのラップに出てきてもおかしくないようなパンチラインが並んでいる。


「ガイアの夜明け」を見てから、ヘラルボニーが発信する言葉をもっと知りたくて、noteなどをひたすらあさりまくった。


採用イベントで驚いたのは、代表の松田さんはじめ、どの社員の方も同じように胸に突き刺さるようなフレーズの数々が、自然と口から出てくることだ。



話を聞きながら『ヘラルボニー』という共通言語があって、それをみんなが使い、話していると感じた。


どうすれば、あのような境地に至れるのだろう。

チーム力という言葉であらわすとチープになってしまう。

ヘラルボニーとは国で、ナショナリズムのようなエネルギーをまとって活動していると思った。

鳥肌が立ちながら、社員の皆さんの言葉を聞いていた。



採用イベントが終わって半日、ぼくが考えていたことは「なぜ短く、訴求力のあるフレーズが大事なのか」ということである。


一つ答えがあるとするなら、短い言葉には影響力があるから、である。


短い言葉は、人の心に残り、言葉を携帯するように、心にしまって生きていける。

また、短い言葉は、呪文のように唱えられ、人から人へ伝播する力を持っている。


街角やSNSで、たまたま見た言葉が、人の心に焼き付いて離れなくなるような経験を、ヘラルボニーなら生み出せるはずだ。


ヘラルボニーの言葉は光そのものだと思った。

いつか、世界中がヘラルボニーという共通言語で話せる未来を見てみたい。

そんな夢を思い描いた採用イベントだった。


ヘラルボニーが、めちゃくちゃかっこいいんだ。

素敵な機会をありがとうございました。



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渋谷 祥平
いつも応援してくださり、ありがとうございます😗