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#関節夫の手のひら小説28寒の夕映え」
#関節夫の手のひら小説28
寒の夕映え」
冬の夕暮れ、神社の境内で圭介は火ばさみを手に落ち葉を集めていた。隣で真里子がその様子を見守る。
「なんでこんなことしたいって?」真里子が尋ねる。
「わからない。でも、これをしないと前に進めない気がする。」圭介の声は静かだった。
火が灯り、枯葉がパチパチと燃え始める。煙が冷たい風に流されるのを、二人は黙って見つめていた。
「これで変われるのかな。」真里子が呟くように言う。
「変わりたいって思うから、変われるんだと思う。」圭介の言葉に、真里子は小さくうなずいた。
火が消え、残った灰を見つめる圭介がぽつりと言った。
「悲しみが少し軽くなった気がする。」
真里子はそっと彼の手を握る。
「これからは、一緒に前を向こう。」
寒空の下、ふたりの影が長く伸び、新しい道を照らしているようだった。