せきせつお

心からの言葉「ココトバ」と、魂を込めて紡いだ31拍の短歌をお届けするココロニスト&短歌アーティストの 関 節夫ワールドへようこそ。短歌を武器にして、音楽、写真、イラストなどのコラボレーションによる癒しから元気の素を発信しています。

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  • こころの処方箋 ココトバブレンド

    【こころの処方箋 ココトバブレンド】 ココトバブレンドのマガジンです。 心からの言葉、ココトバを紡いで、 皆様の心の機微に触れたら幸いです。

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#関節夫のひと息小説19 ヒーローは決して血ヘドを吐く姿は見せない。

#関節夫のひと息小説19 ヒーローは決して血ヘドを吐く姿は見せない。 夜明け前のグラウンドに一人立つ大谷翔平。彼が見せるのは、いつも華やかな笑顔と圧倒的な打撃だが、その背後には誰にも知られない血反吐を吐く努力があった。肩を痛め、今年はマウンドに立つことができない。だが、それでも彼は誰にも弱さを見せず、バッターとして限界を超えて挑み続ける。 バットを振るたび、体に重くのしかかる疲労も痛みも押し殺し、彼はただ前を向く。「ヒーローは完璧でなければならない」。誰にも見せない努力

    • #関節夫のひと息小説18 金木犀薫る深大寺の女

      #関節夫のひと息小説18 金木犀薫る深大寺の女 深大寺の山門前、女はゆっくりとルージュを引いていた。金木犀の甘い香りが風に乗り、彼女の周りを包み込む。鏡も見ずに唇に艶やかな赤を塗るその仕草には、どこか決意が込められていた。紅が唇に乗ると、女の表情がわずかに曇る。 これから誰かに会うのか、それとも別れの余韻を拭い去るための紅なのか。彼女自身も答えを知っているのか分からない。 ルージュをしまい、女は静かに深大寺そばの店へ向かった。暖簾をくぐり、店内の奥に座ると、そば茶が差

      • #関節夫のひと息小説16 息苦しいよワンルーム

        #関節夫のひと息小説16 息苦しいよワンルーム 圭介と真里子は狭いワンルームのアパートに暮らしていた。日々の生活は忙しく、息が詰まるような空間での二人の関係も少しずつギクシャクしていた。 ある日、何でもない些細なことで口論になった。圭介は言葉の勢いでつい強く当たってしまい、真里子は黙ったまま荷物をまとめて、部屋を飛び出して行った。部屋の中に残された圭介は、すぐに謝るべきだったと後悔しながらも、彼女の後を追うことができなかった。 夜も更けて、やっと動き出した圭介は近所を

        • #関節夫のひと息小説15 ラブソングを歌いなさい

          #関節夫のひと息小説15 ラブソングを歌いなさい 喧嘩の理由は、圭介が真里子の 誕生日を忘れたことだった。 真里子は怒り、黙って部屋に 閉じこもった。圭介も悪いとは 思いつつ、どう謝ればいいのか わからなかった。 夜が更けて、家は静まり返っていた。 圭介はリビングでギターを手に取り、 真里子が好きだったあの曲を口ずさんだ。 少し切なく、少し優しいラブソング。 「♪君の笑顔が、僕を照らすんだ…」 突然、ドアが開き、真里子が顔を出した。 目が少し赤いが、その顔には微かに

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        • こころの処方箋 ココトバブレンド
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          #関節夫のひと息小説14真の恋愛は砂漠の真ん中で。

          #関節夫のひと息小説14 真の恋愛は砂漠の真ん中で。 圭介は時折、真里子のことを思い浮かべていた。彼女との出会いは奇跡に近いと彼は感じていた。まるで広大な砂漠の真ん中で、ひとつのオアシスを見つけたようなものだった。砂漠は果てしなく広がり、乾いた風が吹き荒れる中で、圭介は自分が一人ぼっちであることを痛感していた。 だが、真里子は違った。彼女はあたかも、砂の海の中に現れた唯一の緑だった。彼女の笑顔は乾いた心に染みわたり、言葉は彼の心を潤してくれた。真里子と共にいる時、圭介は

          #関節夫のひと息小説14真の恋愛は砂漠の真ん中で。

          #関節夫のひと息小説13 私のこころは何色かしら

          #関節夫のひと息小説13 私のこころは何色かしら? 圭介は大学生の頃、一人の女性と同棲をしていた。その彼女、真理子は心に深い闇を抱えていた。穏やかな日もあれば、急に涙を流し、何も言えないまま佇む日もあった。圭介はそんな彼女を支えようと努めていたが、何をどうしていいのかわからない瞬間がしばしば訪れた。 秋の澄んだ空気の中、二人は並んで歩いていた。空は高く、透き通るような青色だった。真理子はふと立ち止まり、空をじっと見上げた。その瞳には何かを求めるような切実な光があった。

          #関節夫のひと息小説13 私のこころは何色かしら

          #関節夫のひと息小説12 大地に還る葉の如くあれ

          #関節夫のひと息小説12 大地に還る葉の如くあれ #晩秋の足音 秋の終わり、紅葉は風に吹かれて大地に還っていく。その姿を見つめながら、圭介は人生も同じように朽ちて再び生まれ変わるのだと感じた。 #冬の静寂 冬が訪れ、すべてが静寂に包まれた。冷たい大地の下で、次の春に向けて新たな生命が息づいている。圭介は過去の失敗や別れもまた、新たな成長の糧であることに気づく。 #芽吹きの予感 冬の終わりに見つけた小さな新芽。それを見て圭介は思う。朽ちた葉は土に還り、新たな生命を

          #関節夫のひと息小説12 大地に還る葉の如くあれ

          #関節夫のひと息小説11野の人、西行法師。

          #関節夫のひと息小説11 野の人、西行法師。 圭介は、歌人としての道を歩む中で、 世俗の束縛から解き放たれ、 自然と共に生きる西行法師の生き方に 深く憧れを抱いている。 西行が武士の地位や名誉を捨て、 僧侶となり、自由に野を彷徨う姿は、 圭介にとって理想的な生き様そのものであり、 身分や権力から解放されることが 真の自由と感じていた。 「奢りを捨てることこそ、 真の喜びだ」という圭介の呟きは、 内面的な悟りへの渇望を表している。 桜の満開の時の満月の夜に 死にたいと願

          #関節夫のひと息小説11野の人、西行法師。

          #せきせつおのひと息小説10十六夜の月

          #せきせつおのひと息小説10 十六夜の月 孝介は、十六夜の月のような 控えめな美しさに惹かれていた。 満月のように全てを明らかにする光よりも、 どこか影があり、奥ゆかしさを 感じさせるその姿が、彼の心に響いたのだ。 「100パーセント完璧な人より、 少し控えめな人がいい」と、 孝介は思う。完璧すぎる人は 近寄りがたく、何でも自分で 抱え込んでしまいそうだ。 けれども、80パーセントの人は、 自分の不完全さを知っていて、 相手に寄り添う余白を持っている。 そんな女性がいれ

          #せきせつおのひと息小説10十六夜の月

          #関節夫のひと息小説9【真実の愛】

          #関節夫のひと息小説9 【真実の愛】 真実の愛を貫けば、阿修羅の如く 魂込めた鬼になりまする。 圭介は思った。彼女との付き合いは 真実でありたい。嘘偽りのない、 純粋な関係であってほしいと願う。 彼の心は、いつも彼女を思い浮かべ、 その笑顔に安堵し、その涙に痛む。 彼女のためなら、どんな困難も 乗り越えられると思った。 だが、真実の愛とは、単なる 甘いものではない。時には自らの 心をえぐり、相手の痛みを共に 背負う覚悟が必要だ。圭介はそれを 理解していた。それでも、

          #関節夫のひと息小説9【真実の愛】

          #せきせつおのひと息小説8 俺は何者なのか?

          #せきせつおのひと息小説8 俺は何者なのか? 庭先に芙蓉の白い花が開いた。   お昼になって圭介は縁側に出て、素麺を食べることにした。   冷えた素麺に胡瓜とトマトを薬味にして、生姜と胡麻を掛けて食べることにした。   素麺を食べながら、圭介は白い芙蓉の花を見ながら、自問自答した。   俺は何者なのだろう?俺はどこから来て、どこへ行こうとしているのか?   また、何をしている人間なのだろうか?   素麺を平らげると、スイカを食べ始めた。   真夏の昼過ぎのけだるい時間…

          #せきせつおのひと息小説8 俺は何者なのか?

          ブこころの処方箋【ココトバブレンド】~奥ゆかしき十六夜の月~

          ブこころの処方箋【ココトバブレンド】 ~奥ゆかしき十六夜の月~ ■望月をためらいつつもいずるかな        君に似たるや十六夜の月 望月、すなわち十五夜の満月よりも、 一日遅れの少しはにかむ十六夜の 月が好きである。 若かりし時に、 ちょっと控え目で奥ゆかしさのある 女性と恋に落ちたことがあった。 いま思うと彼女を手放したくはなかった。 叶わなかった恋ゆえに、 この歳になり、あの日の恋が 未練がましく思い出される。 ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ ★ 

          ブこころの処方箋【ココトバブレンド】~奥ゆかしき十六夜の月~

          #せきせつおのひと息小説7

          #せきせつおのひと息小説7 緑の葉が濃すぎると、その鮮烈さがかえって自然の中での存在感を薄めてしまう。新緑の若葉が見せる繊細な緑が、かつては生命の息吹を感じさせてくれた。だが、8月の暑さに負けぬよう濃く育った葉は、見る者にその美しさを伝える余裕を失ってしまうように思える。 これは人の美しさにも通じるところがあるのではないだろうか。化粧があまりにも華美であれば、その人自身の魅力がかえって薄れてしまう。厚く塗り重ねられた化粧は、もともと持っている自然な美しさを隠してしまうのだ

          #せきせつおのひと息小説7

          せきせつおのひと息小説4

          せきせつおのひと息小説4 肥料は多くを語らないと言われるが ここでは大いに意に反する。 ここ、東京の一流ホテルの宴会場に 集った東京なでしこ女学院の同窓会 でのことである。みんなが集まって いるのが華やかなドレスに身を包んだ 恵子という40代前後の奥さまのところ。 二人息子の恵子には、上の兄は東大に 入学し、この春には下の息子が名門 中学校に合格した話でもちっきりだ。 さも自分のお陰で合格した自慢話で 花が咲いている。毎日、送り迎えを しただの夜食には苦労しただの話の 話題

          せきせつおのひと息小説4

          #せきせつおのひと息小説3

          #せきせつおのひと息小説3 人を愛するなら、相手に気づかれぬ ように愛しなさいと、ジゴロを気取った 啓介の持論だ。なるほどと思う反面 どうすればいいのか迷ってしまう。 愛していると伝えないで、相手に どう気持ちを伝えればいいのだろ か?それは一途に愛することだと 啓介は言う。愛していると告白 しないで、愛する人をとことん 想うことだと言う。そうすれば いつか相手もくれるという。 さて、あなたならどうしますか?

          #せきせつおのひと息小説3

          せきせつおのひと息小説2

          #せきせつおのひと息小説2 降りてゆくと言うこと。 私たちはある北アルプスの 山頂にいた。ひとつの山を 制覇した満足度に満ちていた。 リーダーである山下は言った。 これから降りてゆくのが大変 なんた。人生でも頂点を極めて 下る、降りて行くのが安易では ない。人生100年。降りて行く ことに慎重にならなければなら ない。会社経営を3つもしている 山下にはそれなりの説得力がある。 降るのは難しいが楽しみもあると いう。さあ、下山楽しもう。

          せきせつおのひと息小説2