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"and" your bird can sing

「きみの鳥はうたえる」三宅唱

僕は夏という季節が一番好きで、何もしていなくても少し自由になれるような気がする。それは小学校や中学校で夏休みがあった名残のようなものだろうし、そのイメージは割と世界共通だと思う。そして、夏には必ず終わりが来るというのも。函館の夏が描かれているこの作品は、hi'specの音楽と共に、夏の自由さを思い出させてくれる。

佐知子と静雄には、それぞれ離れたい、距離を置きたいような物事があって、それぞれ店長である島田と、母親との関係に悩みを抱えている。ただ1人心の声を作品の中で聞くことのできる"僕"は、まるで悩みなんてないようなフリをしながらも、確かに3人の生活の中で変化していく。

僕にとってこの映画は、それぞれ別の物事から逃げようとしている3人を映画というマジックで肯定しているようだと思った。彼ら3人は、飲み屋に行ったり、ビリヤードで遊んだり、クラブで踊ったりして、目の前の問題から逃げようとする。その様子は映画という窓を通して芸術として昇華される。

三宅唱がこの映画について語ったインタビューの中でかっこいい文章があった。

まぁ、映画を見たり、本を読んだり、音楽を聴いたり、朝まで酒を飲んだりする行為って、そうやって時間を伸び縮みささることで、もっといえば時間そのものを忘れることで、なんとか自由になろうとしている、そういう模索の行為なんだと思います。映画とか芸術に興味がないって、自由に興味がないってことで。

映っていないけど、ある
三宅唱インタビュー
NOBODY ISSUE47 映画の絶対的な新しさのために

なんというか自分の中で考えていたことを、とてもポジディブに言い換えていて、気持ちが良かった。自由を求めるその姿は、見た人を魅了し、そして次の鳥へと繋がっていくのだろう。

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