終わらせなければいい
もうかなり前のこと。友達の家に行き、彼女のオススメの漫画をひたすら読むのを楽しみにしていた時期があった。
本屋さんのコミック棚のようにずらりと並んだ中から、その時のイチオシを選書してもらい、はい、と受け取るやいなや読み始める。
時によっては気分を聞かれ、それに合わせたものを選んでくれたり。
私が漫画に夢中になっている間、彼女は飼っている青い愛鳥と遊んでいた。
ある時、「まだ3巻までしか出てないけど、面白いから」と勧められた漫画を読んでいた。はっきりとは覚えてないのだけれど、海で育ち、潜ることが生活の一部だった少年が、競技としての潜水の世界に入っていく。
だが、最後に海に入ったまま戻らなくなってしまう。それが死を意味するのか、それとも海に還ったということなのか・・・と少し謎を残したような、読者に委ねたような終わり方だった。
確かに、「あれ、これで終わり?」とはなったのだけど、それぞれ解釈してくださいというタイプの普通の終わり方の気もした。ただ、友人は最初に「まだ続きがある」と言ったのだ。
「面白いね」というと、「やろ、早く続き読みたいんやー」と言う。「ん?」気になって最後のページをよく見ると、はっきりと「完」と書いてあった。「いやいや、これ終わってるよ。はっきり“完”って書いてるし」と言うと、鳥に啄ばませるのをやめ、「やっぱりか〜」とがっくりと肩を落とした。
そのラストの先も知りたくて、終わってほしくない。だったら終わらせなければいい、という考え方が彼女らしくて可愛くて、ついついその後も何かあるたびにそのエピソードを話していたのだけれど、自分もまさか同じことをやるとは思わなかった。
昨日、『賢い医師生活シーズン2』がとうとう終わってしまった。12回と韓国ドラマとしては比較的短かかったとはいえ、一回が1時間半〜2時間超えとがっつり、見応えのあるシーズンだった。
それに最終回を目前に誰もが気になっていたイクジュン×ソンファの恋の行方がとうとう・・・とファンの期待に応えてくれる内容にもなっていた。
ただ、もうそんなことでは足りないのだ。私たちは彼らと生活を共にしているのだから。
私は意識的に、今シーズン、あえて所々飛ばしたりして「まだ全てを見ていない」戦法をとっていた。これから、また何度も新鮮な楽しみながら観る予定だ。
次のシーズンについては、「やる気はあるがまだ何も決まっていない」状況らしい。そんなこと言わずにもう名言してほしい! 来シーズンと言わず、もういっそ、グレイズアナトミーを抜く長寿ドラマとして何十年先まで生活し続けてくれないだろうか。
毎週のように遊びに行っていた友達と会えなくなってからずいぶん経つ。
生活、が少しずつ、時に急激に形を変えるものだとわかっているけれど、
そんな祈りにも近い願いを込めずにはいられない。