アメリカの夜の音
『アメリカの夜』『軽蔑』『81/2』
どれも大好きというか宝物にしている映画だけれど、この3つの共通点はどれも映画監督の産みの苦しみや関わる人々の苦悩を経て、映画が作られていく過程が、美しい映像によって表現されているところだ。
そして何より、音楽が素晴らしい。
音楽が聴きたいのか、美しい人と空間が見たいのか、それが融合した物語に触れたいのか、もうよくわからなくなっていって結果、ものすごく価値のある絵を部屋に飾っているのと同じように、DVDを置いてある。
観ると必ず泣いてしまう。
精神を浄化してくれる映画なのだ。
私の勝負曲という素敵なハッシュタグがあるけれど、そんなのは多すぎてわからない。そんなにいっぱい勝負する場面もないのにというくらい、ことあるごとに聴く曲は色々あるのだけれど、私の場合そういうものも、だいたい映画とくっついている。
以前記事にも書いたけれど、好きと公言するほどではない程度に音楽を聴く。ただサントラとなると私にとって、好きを通り越して、それは音楽以上になる。
中でも『アメリカの夜』は、初めて観た時から音の宝箱を開けたような、何がこんなに、というほど心を掴まれて惹きこまれた。
この中にずっといたい、と好きな映画を観たときは必ず思うものだけれど、切なくて悩ましい、いたたまれない苦しい心境になっていく物語にも関わらず、美しい映像と音に陶酔していく。
『アメリカの夜』というのは撮影用語なのだけれども、このタイトルも素晴らしくて、フランス語の発音も素敵だ。
アメリカの夜の音。これを聴くだけでもう、負けても勝っても美しくなれる気がしてくる。