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桜が咲いたら会いたくなって
家の近くの公園に子供が集まっていた。
レジャーシートを敷いて、数人ずつのグループがいくつか。
その上には満開近くなった桜の木が、大きな日傘のように光をちょうどよく遮って、そこから零れる太陽は子供たちにピンクの光を注いでいるように見えた。
桜はここ数日が一番綺麗かしら。
毎年この季節を過ごしていても、ばっちりぴったりいま! という桜に出会えることはなかなかない。
途中で雨が降ったりしてせっかくの花がいい時期を逃してしまったり。
風が強い日が続いて、あっという間に花びらと一緒に春を連れ去ってしまったり。
去年は慣れない状況にオタオタしている間に花の時期も過ぎてしまった印象で、今年は気をつけていたのだけれど、家の近くの桜は数日前はあと一歩(同じ木でも南側は結構咲いていたけれど、北に広がった枝の花は遅れているようだった)だったのが、今日は離れたところからでもピンクが一段と大きく濃く見えた。
玄関の前には一枚のうすピンクの花びらが。
花がそれほど好きではないというとえええ、と言われるけれど、正確には好きではないというより得意ではないという方が近い。
植物は近くで見たりするとちょっと怖いときがある。子供の頃近所に立派な花壇のあるお家があって、そこに咲いているチューリップがあまりに大きく花びらがグデンと外に向かって開ききっている様子を近くで見てから、なんとなく苦手意識がついてしまった。
だけど見上げる花は大体が小ぶりなものが多く、空と一緒に見えるものは好きだ。去年何度観たかわからない韓国ドラマ『100日の郎君様』は時代劇でありながら季節を感じる美しい花々が印象的だった。
ドギョンス演じる主人公は桜の花が大好きで、庶民の家に桜を植えたり、ヒロインに桜の柄の靴をプレゼントしようとしたりする。
不思議と(としらばっくれてみる。何度も見ているからサブリミナル効果のように)桜をみたらまた、このドラマが見たくなってしまった。
桜が咲いたら会いたくなる人、もみんなそれぞれいるだろうなあ。