高瀬隼子 著 「め生える」
4文字で語るならハゲ小説といったところか。
そんな4文字で表現できる内容ではない。当たり前である。
原因不明の髪が抜ける=ハゲになるという感染症が世界的に流行して、大人はほとんどの人間がハゲてしまった世界線。
もしこれが現実生活で起こったら。
私は喜んでしまう。
要するにハゲる未来がほぼ確定だから、全員ハゲてしまえば、何も後ろめたさなどないからだ。
こんなに嬉しいことはないかもしれない。
その小説の世界では、たしかAGAという言葉は出てこなかったはずだ。
なので、AGA薬という言葉も出てきてない。
だが、現実世界ではAGA薬は世間を駆け巡り、服用している人は確実にいる。
それが私であるからだ。
この現実世界にAGA薬があって本当に感謝している。
AGA薬=希望薬だと思っている。
小説を読んで、フィクションと現実を行ったり来たりできた。この体験は私は小説でしか味わえなかったと思っている。
ハゲというタブー的な要素をはらむ話で読者を楽しませる小説家は、改めてすごい。
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