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migmin
寝て起きたら地獄でした
大宮のネットカフェ中に、スマホのアラームが鳴り響く。
アタシは8時間も延長をしてしまっていたようだ。
えぐい、延滞料金えぐい。それで稼いでいるんだろう。起こしてよ。
時にすでに遅し。
タイムイズマネー。
アタシは、チャージめいっぱいの電子マネーをほぼゼロにすることでお家計を済ませた。
もう、行く場所はない。
3日も会社に行っていないからだ。
店に出ると、外の明かりでフラフラとした。
だから朝は嫌いだ。明日は苦手だ。
でも、そこは荒廃した大宮駅が広がる終末世界になっていた。
もう、この町にはネットカフェしかない。
決心した。
もう1回、ネットカフェで寝よう。
きっと世界は変わっていないはずだろうけれど。
起きた。アラームより5分早く起きた。
終末世界はまだそのままだった。
同僚がアタシを探しに来ていた。
泣きそうになった。人生、捨てたもんじゃない。
同僚はアタシを抱きしめて言った。
「あんたの仕事、まだ終わらないんだけど。早く戻るよ」
「……ごめん」
終末世界を楽しむ間もなく、アタシはパソコンを広げた。
溜まったメールを見ていると、ここがアタシの生きる場所だと悟った。
大宮を出ると、いつもの大都会が残っていた。
さよなら、ネットカフェ。さよなら、終末世界。