覚えてないようで覚えてる？

早朝の吉祥寺発、井の頭線。そこから見る景色が嫌いになった。
人生最悪の夜を明かしたからだ。
アタシは彼氏の家を追い出された。というか勝手に引っ越していたのだ、彼氏が。
気付けよ馬鹿案件なのだが、1週間連絡取れないことはよくあった。だから既読スルーも未読スルーも当たり前だった。それがフリーのネイリストのアタシからしたら楽だったけど、今は後悔している。

彼は手先が異常に長くて綺麗でスベスベで、アタシの愛情ポイントをほぼ満たしてくれていたけど、欲求という欲求がとにかくなくてガリガリで無口で不感症だった。
でも、好きだったのに……。