![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151693998/rectangle_large_type_2_7bc0aa015cb3c4699c832b3faf62b004.jpg?width=1200)
Photo by
njrecalls
誰かが、どこかで、きっと仲間はずれ
久しぶりの再会が久しぶりに思えないのは、お互いに何の成長もしていないからなのだろうと思う。
居酒屋で8年ぶりの再会を果たしたが、全く感情は揺さぶられなかった。
3人とも30代後半になっても平社員まっしぐらで、キラキラした者は一人もいない。
でも、変化もあった。一応。
大石は結婚し、子供が二人いる。
多江原も結婚し、子供ができたばかり。
俺はと言うと、いい歳をして仕事を辞めた。
要は無職で独身、貧乏暮らしだ。
冴えないこいつらも家族トークで自然とマウントを取る。
悪気がないが、悪いと思っていないところがポンコツたるゆえんだろう。
俺はと言うと、エージェントに登録しながらも、暇な日は派遣バイトを始めた。
そこに行くと、俺はまた仲間外れになる。
死んだような顔のおじさんたちが談笑している。大概がギャンブルか風俗の話だ。
どちらもやらない俺は一人黙ってスマホを見ている。
俺の居場所はどこに行ってしまったのだろう。
すると、目の前のパイプ椅子に座る30代にも40代にも、いや50代にも見える女性がいた。
彼女もまた一人だ。床を見つめている。
それが、小学校の同級生で初恋の人だった金山さんだと気づいたのは、休憩を終えて点呼を取っているときだった。
あのとき、好きじゃないごめんね、と言われた金山さんがブカブカの作業着を羽織って立っていた。
人生は人と人との絆や縁でできている。
そんな言葉は信じたことはなかったけれど、今ひとりぼっちの俺は、金山さんとのナニカを感じていた。
まさか金山さんが殺人犯と暮らしているなんて、殺人幇助をしたなんて、そのときは分からなかった。
そして俺が彼女を救うために立ち上がるとは……。
この続きはまた今度話そう。
さぁ午後の業務が始まる。