姉、妹を追いかけて初夏
平成も半ば。それはそれは仲の良い姉妹がいました。
2人は大人になっても一緒に暮らすことにしました。
場所は清澄白河。お洒落なカフェと古き良き日本が残る人気エリア。最近の週末はカップルでいっぱい。
姉妹はそんなインスタ命だぜ!な雰囲気をどこか鼻で笑いながらも、自分たちは自分たちで、お気に入りのパン屋に通うなど、そこそこ幸せに暮らしていました。
姉は銀行のテラー。この道8年。
妹はコンセプト型のガールズバーの副店長。
姉は黒髪ショート。
妹はロングのピンクメッシュ。
ともに、早口だけど舌足らず。
ともに、巨乳で男ウケだけは良い。
彼氏のすべらない話だけで朝まで語ることもあったりしました。
性格は誰が見ても真逆だけど、趣味のフェス巡りだけは同じぐらいの熱量を持っていて、ともに毎年の夏は、環境サイテーの苗場に参戦していました。
汗をかいて八の字のリズムに乗って、冷えたビールで乾杯する瞬間に、
あたしら姉妹だね。
と笑い合っていましたとさ。
あの日、妹が姉の貯めていた358万円を盗んで、もぬけの殻になるまでは……。
どこまでも逃げる妹を追いかける姉。
そのとき、気づいた妹の底意地の悪さに、姉は驚いてしまいました。
妹をここまでモンスターになったのはなぜなのでしょうか? 姉はお金の心配以上に頭を悩ませました。
姉は妹を追いかけるのをやめて、妹をとりまいた男たちを調べることにしました。
さぁ物語のはじまり、はじまり。