「国道8号線は続く、いつまでも」
でっかいアウトレットが賑わっている。
小っさい駅ビルは親指をそれを見ているだけだ――。
国道8号は今日も黄砂とトラックが風を切って走り去り、ときにとどまっている。
おいしいラーメン屋は少ないが、駐車場の広いラーメン屋はあちこちに点在する。
あたしは国道8号線の下をくぐるトンネルを、冴えない自転車テクニックで抜ける。
この町は、この音は、この胸騒ぎは、ネットやテレビでは伝わらない。
もちろん、あたしたちが伝えるつもりもサラサラない。
だって、あと半年でこの町を出るから。
あたしは、おばあちゃんを轢いた。打ち所が悪く、おばあちゃんは意識不明になった。
高校3年生になって初めての誕生日だった――。