イラストレーター、個展ってするべき?しないべき?

ここ数日TwitterのTLで、イラストレーターの個展はすべきかしないべきか、という話題をよく目にしました。

ここ1年間ほどご案内をいただき、色々見に行かせていただいたなりに感じることとしては、目的が明確ならば個展をするといいんじゃないでしょうか。
で、その目的、色々なケースがあると思います。

イメージしやすいように思いつくまま、いくつかあげてみますね。

※すでに何度も個展を行った経験のある方よりも、駆け出しイラストレーターさん向けの内容です。
※あくまで「仕事獲得」を意識している方向けの内容です。

【A】
イラストレーター生活ももうすぐ◯年。
区切りとなる年に、今までお世話になった方にお礼を伝えたり、なかなか直接会って挨拶ができていない方にもお会いしてみたい。

在廊されているイラストレーターさんに「個展やってみて反応などどうでした?」とお聞きすると、久々に同級生や先生、同業者やお得意先に会えた・お仕事でまだ会えていなかった方が来てくれた、という<やってよかった実感>をおっしゃる方が多いです。 
どうしてもメッセージや電話ベースのやりとりが増えてしまうので、対面で生の声を聞くというのはすごく意味のあることだとわたしも思います。


【B】
これまでとは違う作風で、チャレンジしたことがないジャンルの仕事のきっかけにしたい。

個人的にはこれが一番意味あるんじゃないかなと思います。作品作りと営業のきっかけにもなって一石二鳥。


【C】
自分の作風にドンズバのギャラリーを見つけたのでここで個展がしたい。

フィーリングだけではちょっと弱いかと。個展やりきったぜ症候群にならないためにも、その後にどういうリアクションがあるかを想定して、作風だけでなくギャラリーの場所、DMをお送りする方(=来て欲しい方)を選定すべきですね。
ギャラリーさんそれぞれですでにお客さんを持っておられるので、そのあたりもきちんとお話して自分の目指したい方向性に合うかどうかを見極めると良いかと思います。


【D】
原画やグッズを販売して収益をあげたい。

イラストレーターさんの作品って、もちろんひとによるのですが、原画の価格があまり高く設定されていないことが多いです。グッズも自分で作っているとしたら、まずその費用は持ち出すところから始めますよね。AやBの目的があってプラスアルファの収益としてみなしているなら良いのですが、販売だけを目的にするなら個展じゃなくて、イベントを探してみるのも手なのかと。
あと、これ言うと元も子もないですが、日本国民全体でみて絵を買わないひとが大半なので、置いておけば売れるというのは幻想です。


【E】
人脈をひろげたい。

個展をひらけば人がくる、というのもまた幻想です。なにもしないよりマシだと思うかもしれないけれど、作品を作る労力やギャラリーを借りるコスト、会期中滞在する間の仕事の捌き方などなど、負担は少なくありません。このような漠然とした目的<だけ>では終わってから「で、結局なんだっけ?」となりかねないので、人脈とひとことで済ますのではなく「どんな会社」の「どんな仕事」をしている「どんな人」と繋がりたいのか、事細かく分析してご招待する必要があります。

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重複しますが、個展はお金も時間も作品を生み出す労力も、お仕事をしながら同時にこなそうと思うとかなりの負担になります。それをわかってでもペイできる目的や具体的な収益が見込めるならするといい、というのがわたしの意見です。
個展くらいやったほうがいいのかな?という謎の義務感で行うのはちょっと一度考えようか、と言いたくなります。

あとよく考えてほしいのは場所です。
あくまでお仕事獲得目的をベースで言っていますが、たいていの会社は23区内の一部の場所にあり、たいていの大人は忙しく仕事をしているので、DMやWEBでの案内をみて「え!行きにくい!しかも平日17時まで?無理だ!」と思わせてしまうような場所は避けましょう。

「会社のすぐ近くだな」
「表参道ならいくつかギャラリーがあるしハシゴできるな」
「デザイナーさんと打ち合わせのついでに寄れそうだな」
など、行きやすいと思わせる作戦は必要です。

ただし、そういう場所のギャラリーさんは比較的高額で、しかも人気だから半年〜1年先まで展示枠が埋まっているということもありますけどね、それも踏まえてどういう目的なのか・どんな見返りが欲しいのかをちゃんと考えて挑みましょう。

もろもろの算段がつくならば、個展、いいんじゃないですか!

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瀬戸枝里子
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