MacBookが壊れた/壊した
せっかくだから瞬間の感情を書き留めておかなきゃと思って書いている。PCが壊れました。正確にいうと動いてる様子はあるけど画面がまったく映らなくなりました。
使っていたのは2019年製MacBook Pro 16インチで、コロナ禍に入ったタイミング、在宅作業での必要性に迫られて慌てて買ったやつ。本体が24万円、作業効率を上げるためにワイヤレスのキーボードやらマウスやら諸々のアクセサリーもつけてだいたい27万円くらい。会社は27インチのiMacで縦長のサブモニターもつけてデュアルディスプレイにしているため正直16インチのノートタイプじゃ小さくて、それまでメインで使っていた2009年製の化石みたいなiMac(私が大学入学のときに買ったやつ!)をメインモニターとして繋ごうとしたが、その時代のiMacには出力はあっても入力はないということで完全に無用の長物、でも私はすぐに出社するようになり、数カ月に一度で在宅、くらいの割合になったので多少のストレスはあるものの作業自体はぜんぜんできるし……と思ってサブモニターは購入してなかった。化石iMacも捨てていないので、これじゃ机にディスプレイ載せられないねェと諸々を先延ばしにしていたせいもある。
加えていえばちょっと今のところから引っ越そうかなという気持ちもあり、そのタイミングで化石iMacを引き取ってもらい、新居にメインのディスプレイを買ってゆきMacBookはサブモニター的な扱いにしようかなとも思っていて、MacBookの Chrome履歴のなかには物件を探した跡が残ってると思う。もう見るすべはないが。
ただ、ここ数ヶ月のうちに事務所移転の話が本格化してくるのにあたって在宅の頻度が増えることになりそうで、そのタイミングが私の引っ越しとも絡んできそうで、それならディスプレイを買っておいて在宅の環境を整えるのが先かもと思い、MacBookの Chromeの履歴のなかには大きいサイズのモニターを探した跡が残ってると思う。もう見るすべはないが。
つまりはそういうすべてを先送りにして狭い机でMacBookを開いたり閉じたりしていたわけである。
んで昨日、正確には一昨日、京極夏彦の新作「鵺の碑」が出たので私は単行本版を買い、リアルタイムでちゃんと百鬼夜行シリーズを買えたのは「邪魅の雫」が最初で最後だったから舞い上がるような気持ちで買い、まるで同人誌みたいな仕様に対して長々と感想を書き残しては拝むように目を通し出してうわちゃんと京極夏彦が書いた、二次創作ではない京極堂だ!啜れ!の気持ちでベッドに横になって夜遅くまで読みふけり、ひと晩で読み通したかったがさすがに私も勤め人なのでその途中でサイドテーブルがわりにしている机にドンッと置いたのだ。いくら軽い本文用紙を使っているとはいえ束幅65mmのレンガのような1冊を、興奮がおさまらずもしかしたら乱暴な手つきだったかもしれない、とにかく机の上に、正確にいうとMacBookの上にあの重量のある本を置いた。それで壊れた。嘘でしょ??
もちろん理由はそれだけではなく、MacBookを閉じたときにイヤフォンコードとイヤフォンが挟まっており、その状態に対して強い衝撃が加わって叩いた形になったせいだと推察され(修理に持っていた際に「おっしゃる通りここに何か挟まって圧力がかけられてますね」と液晶のもっともダメージを受けているところを説明してもらった。言われてたらそこだけ黒が深いような気がした。たぶん。)もちろんすべて、すべてすべて私が悪いのだが、ほんの一瞬だけおのれ京極夏彦と思った。
上京してからずっとApple製品を使っているが修理に出したことがなかったので相場もわからずためしに調べてみたら正規取扱店だと5〜14万とある。は? 最高額はiPhone15が買えるが??? さらに調べると基板の損傷なども含めた額だとその程度で、液晶の交換だけだともう少し安そう。正規じゃないところも考えたけど一応わずかながら会社のデータが入ってるPCなのでそこはちゃんとしたところにお願いしようと思い、でも見積もりが余程の金額だったら新調するのもやぶさかではない、新型のiMacは最低価格17万……でも結局サブディスプレイは別途で買うことになるだろうからそれを考えたら修理の方がいいよなあスペックで困ってることは一切ないし、という感じで、ひと晩うだうだ考え、修理が終わっていまです。
修理にかかる前まではだいたい85000円くらいを想像していて、ま〜そんなこと言っても実際は7万円ちょっとで思ってたより安かった!くらいでしょ!などタカを括っていたのに、私からのヒアリングを終え実際にMacBookの状態を見たAppleの人から「まずは先んじてお値段の方から」と切り出され、こちらの覚悟も固まらないくらいの速度で走り書かれたメモに71000と記載されたのが見え、アッこれは本当に読み通りなのでは!?と思ってところ「このパターンだと液晶だけではなく開閉部分も取り替えることになりますね」と続けられて思わず息を飲んだらそれが680円とのこと、なんだ脅かしちゃって結局想像よりも下回ってよかったな〜など油断していた瞬間「それで組み立て費用が25000円と消費税が1.1掛かって」と追い討ちをかけられて頭がおかしくなりそうで思わず太腿をぎゅっとつねっていた。総額は約107000円。
107000円。
今日のうちに実際どこの損傷かを調べてみて、もしかしたら基盤などに及んでいる場合は料金が追加になる可能性もあるようで(さらに高額になるようだと修理のキャンセル自体もできる、ただし相談費用として5500円は発生する)、修理には7〜10日かかるとのこと。修理を受ける前にバックアップやら「探す」機能を停止することなどの事前に行わなければならない項目もあり、でもなにせ液晶がつかないのでとにかく持っていってみると「探す」機能は外部からも切れた。なかなかApple IDにログインできなくて焦ったけれど……また作業自体は外付けのSSD、バックアップも外付けSSDで行っていたため本体に入れてあるデータこそ本当にいざというとき用のやつなので問題はなかった。だったら新調しても…と思うがAdobeのライセンスやら諸々が外部から切れるかもわからず、というか液晶が壊れた状態でディスプレイ買ってきて無理やり繋いだら動かせる気もしたけどもういい、もうこれ以上考えさせないでくれ……お金なら……払うから……
料金は実際にMacBookを受け取ってからの支払いになるのでそれくらいの猶予が生まれた。私はこれから10日かけてゆっくりと107000円の事実を受け入れてゆく。部屋の机はコロナ前と同じ化石のような、でもまだかろうじて動くiMacがたたずみ、そのかたわらにはすべての元凶となった「鵺の碑」も横たわっている。これからどこかでタイトルを見るたび107000のことを思い出してしまうだろうし、でもいまはせめて107000であることを願う。これ以上高くなったらふつうに新調します。くれぐれもみなさまお気をつけて。
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