ワイン業界の転換期
日本人のワイン消費量は1980年から約40年で約8倍に増加したと言われている。コロナ禍以降ここ数年3.5㍑で横ばいだそうです。
ところが、フランスでも異変が起こっている。1960年代フランス人1人当たりのワイン年間消費量は120㍑を越えていたのが、2020年時点で40㍑と「フランス人がこれほどワイン飲まなくなった時代ない」と言われている。(ちなみに最大消費量はポルトガルが52㍑)
特に「ワインの女王」と称されてきたボルドーワインは、コロナ禍で輸出量は大きく落ち込んだ2020年よりも年々減少傾向にあるという。この地球沸騰化により重厚なアルコール度数のしっかりした赤ワインが敬遠される昨今。一部高級ワインには当てはまらないのだが、在庫を抱えることで価格を下げるが輸出の伸び悩みにより運営が成り立たないところが多く見られる。物の価格がそのものの価値に反映しない現代で特にワインは需要と供給でその価格が決まることが加速している。
そこで出てきたのがぶどう畑の縮小です。東京ドーム2000個分の9500㌶をワインの適正価格を維持するための余剰分として政府とボルドー委員会が6000ユーロ/㌶の補助金を出す条件で希望者を募集したところ1200件の応募があり今秋までに引き抜くことになるという。補助金を一度受け取ると再び植樹を行うことは出来ないという条件となっている。
この引き抜き計画はオーストラリアや米カリフォルニアなどの産地でも進められており、世界的に需給ギャップ解消が問題になっている。このような世界情勢の中で、日本でも大手ビール会社が次々とワイン輸入からの撤退、国産ワイン醸造の規模縮小などを行っているのが現状だ。しかし、ワイン特区の制定などで政府主導のもとでワイン醸造量を増やしている。この現実をどう考え、乗り越えるかは、生産者だけでなく付加価値を引き出すソムリエにも大きな課題になる。