過去3回にわたって開催された「里親子が暮らしやすい街は、きっと、あなたも暮らしやすい街。」は、里親子と地域が支え合うアイデアを共有するためのイベントです。
最後となる4回目は、令和6年1月13日、東京・世田谷にある「Cafe Kolm」で開催。
今回は里親家庭で生活した経験があり、特定非営利活動法人IFCAユース(※)メンバーの山本愛夢さんを招き、里親との生活や葛藤を率直に語っていただきました。
当日の様子をイベントレポート形式で振り返ります。
※社会的養護の当事者である若者を指す言葉
※過去のレポート記事はこちら(https://note.com/setaoya)
◆自己紹介・里親制度の説明
今回は大学生や子育て支援に関わる方など、幅広い年齢層の8名にご参加いただきました。自己紹介の後、「フォスターホームサポートセンターともがき(以下:ともがき)」から里親制度や事業内容について説明がありました。
◆ユースの伴走者、岡桃子さんが登場
続いて、特定非営利活動法人IFCAのサポーティブ・アダルトの岡桃子さんが登場しました。
◆母親からの虐待で里親家庭に入った山本愛夢さんの話
この流れで、IFCAユースメンバーの山本愛夢さんが登場しました。
現在24歳の山本さんは、1歳の頃に両親が離婚、15歳まで母子家庭で育ちました。15歳から2年半ほど里親家庭で過ごし、措置解除後の現在は看護師として働いています。里親との生活や当時の想いを、岡さんインタビューのもと振り返っていただきました。
ここで、里親を検討しているという男性から「愛夢さんは、里親に何を求めましたか?」という質問がありました。
それに対し、「もし幼少期の頃に里親と出会っていたら、親代わりを求めたかもしれません。でも私は15歳まで実家庭で暮らし、暴力は受けましたが、母親を嫌いになったわけではありません。だから里親には、衣食住が安全に確保された場所で、一人の人間として対等に関わって欲しかったんだと、今はそう思います」と胸の内を明かしてくれました。
最後にともがきスタッフから、「世田谷区では、里親希望者には面接の段階で、必ずしも親子のような関係になるわけではないと伝えています。特に思春期のお子さんになると、適度な距離を保って接したほうがいいなどの助言をすることもあります」という情報も共有されました。
次に、里親子が暮らしやすい街づくりにするためのアイデアを共有するワークショップを実施。参加者は付箋にアイデアを書き、グループ代表者がそれぞれ意見を発表しました。
●Aグループ「里親子と他の家族が集う食堂をつくる」
Aグループでは、食事の時間をみんなで共有する「地域食堂があるといい」という意見が出ました。ここで里親子と一般家庭が交流を図ることで、「他の家族のあたたかみを体験できたら」という意見も共有されました。
また里親の話を根掘り葉掘り聞くのではなく、「傾聴する姿勢が大切」という声も挙がりました。
●Bグループ「里親・里子同士が交流できる場を設ける」
Bグループでは、「里親子が気軽に集まれる場所」について議論がなされました。
具体的には、「里親同士、里子同士が交流できる第3の場所を設けたい」「年齢や性別、生活環境もさまざまだからこそ、個別対応もできるといい」「日常ですぐ行ける場所にあることが大事」などの意見が挙がりました。
また、山本さんの『子どもは、支援者に対して感謝していても、その気持ちを伝える術がわからない場合がある』という発言を受け、「感謝の気持ちがあっても表現できないことがある」「自分の当たり前を相手に押しつけない」といった価値観も共有されました。
最後に
最後に参加者にアンケートをご記入いただき、イベントは無事終了しました。
2023年9月から4回開催された「里親子が暮らしやすい街は、きっと、あなたも暮らしやすい街。」、いかがでしたでしょうか。過去のレポート記事もnoteに掲載しておりますので、ぜひご覧ください!
※過去のレポート記事はこちら(https://note.com/setaoya)
今後も里親制度相談室「SETA-OYA」は、里親制度の普及・啓発のための活動に努めてまいります。