大人が安心できる環境でこそ、子どもも安心できる。|「365日のさとおやこ」イベントレポート(前編)
10月〜11月は里親月間。
月間中には、里親制度をより多くの方に知っていただくため、今年で三度目となる里親制度啓発イベント「365日のさとおやこ」を開催しました。
会場は下北沢の商業施設BONUS TRACKです。
気軽に里親子について知っていただくため、対談や展示会、里親さんを囲む座談会(里親カフェ)、映画上映、ワークショップやお買い物ができるマルシェなど様々な催しを行いました。
当記事では三輪清子さんと橋本宗樹さんの対談、写真展示「ともにくらす、さとおやこ」、スタンプラリーやワークショップ、マルシェへの出展団体についてご紹介します。
◆「里子と一緒に暮らすうちに、家庭での新たな当たり前が生まれた」三輪清子さん×橋本宗樹さん対談
午前中には会場敷地内の本屋B&Bを会場に、三輪清子さんと橋本宗樹さんの対談を行いました。
三輪さんは「もしかして となりの親子は里親子!?」の著者であり、大学で社会福祉士の養成に携わりながら、里親についての研究をされています。
また、養育里親として現在も里子を育てています。
橋本さんは、カラーズ株式会社の代表取締役を務めており、多数のコスメブランドを展開されています。
当イベントを主催する「フォスターホームサポートセンターともがき」の母体である、社会福祉法人東京育成園が運営する児童養護施設にヘアケア商品などをご寄付いただいたことがきっかけで、当イベントにご登壇いただくことになりました。
当日は会場とオンライン合わせて68名が参加し、大盛況となりました。当日の対談の一部をご紹介します。
◆里親子の日常を切り取った展示「ともにくらす、さとおやこ」
室内GALLERYスペースでは、里親・ファミリーホーム・養子縁組の写真展を行っている「写真と言葉でつむぐプロジェクト フォスター」さんにご協力いただき、里親家庭の歩みにふれる展示「ともにくらす、さとおやこ」を行いました。
世田谷区では「里親子フレンドリーシティへ。」というキャッチコピーを掲げ、里親家庭を含めたどんな家庭であっても、地域の誰もが子どもたちの成長を支え、子育てに協力しあえる街を目指しています。
展示の中では、里親子の体験談や日々の暮らしをテーマにした写真や子どもが里親さんに書いたお手紙などを紹介しました。
ある里親さんは、里子が来てくれて初めて知る音楽や芸能人が多く、毎日が旅のようだと日々の生活を振り返ります。
自分の家で預かることが本当に里子のためになるのだろうかと不安になることもあるそうですが、毎日が楽しくて「この子を迎えることができてよかった」と綴っています。
ほかにも「さとおやこの記念日企画展」の中では、里親子の記念日にまつわる品々の展示を行いました。
里子からもらったお手紙や里子が描いた里親子の絵、絵本イベントでつくったTシャツや近所の方からもらったお友達と色違いの帽子など、日常使いの衣類も含めて展示されていました。
里親子の思い出がぎゅっと詰まった空間でした。
◆スタンプラリーやワークショップを通じ、気軽に里親制度に触れるきっかけを
スタンプラリーやワークショップ、物品の販売も行いました。
スタンプラリーでは里親制度についてのよくある疑問をQ&A形式で紹介し、楽しく里親について学べる仕掛けを作りました。
子どもたちが自由に絵を描けるワークショップも用意しました。
世田谷代田仁慈保幼園にご協力いただき、子どもたちが遊べる場をつくることで、地域に暮らす子育て世帯の方々にも自然と里親子について知っていただける機会となることを意識しました。
昨年に引き続き、社会的養護や養育についての書籍を読むことができるスペースも用意しました。
トラウマケアや性教育など養育にまつわる幅広いテーマの書籍を集めました。
書籍スペースの周辺では、ワークショップやお買い物ができるマルシェを開催しました。
当日出店されたみなさんは、当イベントを主催している社会福祉法人東京育成園とつながりが深く、子どもの福祉について理解のある団体が集まっています。
出店されたみなさんを五十音順でご紹介します。
■NPO法人こども劇場せたがや
NPO法人こども劇場せたがやは、世田谷区内の子どもたちを中心に芸術や音楽鑑賞などの様々な文化的な機会を提供しています。里親の普及に賛同し、当イベントに参加されたとお話されていました。
当日は子どもに向けた手づくり楽器のワークショップやお菓子のネックレスであるキャンディレイの販売などを実施されました。
■NPO法人バディチーム
NPO法人バディチームでは子育て世帯の孤立を防ぐため、保育や家事などの訪問型支援を行っています。里親家庭にも訪問型支援を提供しており「専門家でない地域の人たちも里親子の力になれる」とお話しされていました。
当日は日々の活動紹介と相談ブースを運営されました。
■株式会社ナカノ
株式会社ナカノは、天然の革を使用した音質にこだわった知育楽器を製造しています。当日は楽器の販売をされました。
当法人が運営する児童養護施設に楽器を寄付されたことがきっかけで、イベントにご参加くださいました。
■世田谷福祉作業所
世田谷福祉作業所は障害がある方に向けた就労の場「就労継続支援事業所」を運営されています。母体である社会福祉法人武蔵野会が戦争孤児の支援からスタートしており、子どもの福祉に関心があったといいます。
当日はオリジナルブランド「しあわ世のもりあわせ」の焼き菓子を販売されていました。
■玉川福祉作業所
玉川福祉作業所は世田谷福祉作業所と同じく「就労継続支援事業所」を運営されています。イベントを通して「里親をあまり知らない方にも制度について知ってもらえる機会になればよい」とお話しされていました。
当日はオリジナルブランド「irodori」の雑貨を販売されました。
■ユー花園 下北沢本店
ユー花園はフラワーショップの運営や冠婚葬祭でのお花の装飾などを行う企業です。当法人が運営する児童養護施設に季節の行事に合わせてお花を寄付いただいているご縁でイベントに参加されることとなりました。
当日はお花を使ったワークショップを行いました。
対談や展示を通じて、時間をともに過ごす中で里親子の大切な思い出が育まれていくこと、里子を含めた全員で一つの家族をつくっていくことを痛感しました。
血のつながりだけではない家族の形や地域にひらかれた里親子の養育のあり方と出会える機会となりました。
イベントレポート後編では、現役の里親さんとの座談会「里親カフェ」、社会的養護や被虐待経験のある若者たちの声をまとめた映画「REALVOICE」のトークショーの様子をまとめます。
ぜひご覧ください。
■今後も様々な形で里親制度の普及啓発のためのイベントを開催していきます。以下にて随時イベント情報を公開していきます。
■里親になるためにはいくつかの要件がありますが、特別な資格は必要ありません。詳細は以下よりご覧いただけます。
■本noteでは、過去のイベントレポートも掲載しています。こちらも併せてぜひご覧ください。