里親子と地域のつながりについて考える「365日のさとおやこ〜あおぞらマーケット〜」開催レポート【前編】
令和5年11月3日。下北線路街と呼ばれる人気エリア「BONUS TRACK」にて、今年も「365日のさとおやこ〜あおぞらマーケット〜」を開催しました。
「里親制度」を広く認知してもらえるよう、どなたでも楽しめる販売やワークショップ、映画の上映などを実施。何気なく足を運んでみたら、「さとおやこ」を身近に感じられるイベントです。
この記事では、305名の方にご来場いただいた里親家庭の写真展や、里親さんを招いた座談会の様子などをレポートします。
◆「さとおやこ」の日常を切り取った写真展
ギャラリーで行われた写真展では、「さとおやこ」の日常を切り取った写真やパネル、思い出のお品物を展示させていただきました。
◇里親家庭を被写体にした写真とストーリー
写真展では、全国の里親家庭・ファミリーホーム・養子縁組家族の写真展を行うプロジェクト「フォスター」からお借りしました。
写真に写っているのは、経験豊かな専門里親さん、養子に託した実母さん、里親になった児童相談所の職員さんなどです。さまざまな家族の形を、ストーリーと共に紹介しました。
例えば、ある方は、暴力などで心身ともに追い込まれて、入院するために、2人のお子さんを児童養護施設と里親に預けた時期がありました。
里親に預かってもらったことがある家族として、家族みんなで話し合って、フォスター写真展に参加しています。
家族が伝えたかったことは、誰でも「預ける側」にも「預かる側」にもなり得るということ。子どもを一時期預けたのは「家族を手放さないため」「自分も子どもも死なせないため」という思いがあったそうです。
今はカウンセリングをする立場になって、今度は誰かを助けています。写真の中には、過去を乗り越えて絆を深めた家族の笑顔が映っていました。
◇里親子にとっての思い出の品々
「さとおやこの記念日」のお品物コーナーでは、里親子さんからお借りした、ご家族の記念日にまつわるお品物を展示しました。里親になってすぐ、慣れないミシンで作ったという幼稚園グッズ、子どもからの感謝の手紙、誕生日ケーキなどの写真が並びました。
一見すると、普通の家族となんら変わらないものでも、里親子にとっては特別な思いがあったのではと想像します。
また、里親子さんの食卓を取材させていただき、撮影した写真もパネルで展示しました。
※里親子さんへの取材記事はこちら(家族の食卓|世田谷の里親相談室SETA-OYA)
◆6人の子どもを養育した里親さんの話
現在子どもを養育されている里親さんを招き、座談会を開きました。今回の企画にご協力いただいた江角愛さん(仮名)は、17年前から養育家庭(里親)として6人の子どもを育ててきました。
ご夫婦で実子を望んでいたものの、3回の流産を経験。その後、たまたまつけたテレビで虐待事件の報道を目にし「私がその子を育てたい」と思い、里親登録に至ったそうです。そんな江角さんに参加者から寄せられた質問の一部をご紹介します。
◆里親子を題材にしたドキュメンタリー映画も上映
今回のイベントでは、映画の上映も行いました。1本目の映画「隣る人」は、ある児童養護施設の8年間の日常を追ったドキュメンタリー。
2本目として、ドキュメンタリー映像「思い出がありすぎて〜それぞれにとっての家族の形〜」のダイジェスト版を上映しました。こちらは里親家庭のインタビュー映像をまとめたものです。2本の作品の企画者、稲塚由美子さんによるゲストトークも実施しました。
◆まとめ
里親家庭を被写体にした写真展では、実名と顔写真を出して、リアルな日常をみていただきました。また里親さんを招いた座談会では、学生さんや里親になりたい成人女性など幅広い年代の方にご参加いただき、とても実りある時間になりました。
レポート後編は、出店者の声や宝箱を作るワークショップの様子などをご紹介します。
※後編はこちら
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