ショート「夜な夜な」

皆さんは、友達と会話は、どうやってするのが多いですか?
私は、電話か直接会って話すのが多いです。スマホのチャットアプリは、業務連絡くらいでしょうか。例えば、「明日、会う約束」をしたり、買い物をお願いしたり・・・まぁ、それくらいです。
中には、ダイレクトメッセージで会話をメインにする人もいるようで――。


 深夜12時、チャットで、友達のB子と会話しすぎて、この時間になってしまった。何時に始めたかは、覚えていない。夕方までやったバイトの帰りにもしたし、夕飯を食べながらもしたし、風呂上がりにもしたし。
 「ねえ、今、火曜の10時に6チャンでやってるドラマ、観た?」
 え、火曜の10時? 6チャン? 頭がぼーっとしてて、チンプンカンプンだった。今の思考じゃ、無理だ。ごめん、B子、今日は、安らかに眠れ。夜行性の彼女に、そう祈り、私は、スマホをベッドから少し離れたリビングソファの上に置いた。
 「おやすみ。」
 私は、そう言って、電気を消した。誰もいないアパートの一室だけど。

 暗闇の中から、ぼんやりと、何かが見える。中学の頃の元カレだ。一緒に手を繋いで歩いてる。初めて、一緒に帰るとき、こんな感じだったな。お互い、恥ずかしくて、笑っちゃって。
 あいつ、何してんだろう。ケンカ別れしたのに、様子が気になる。変な私―――。

 そんな夢を見ている最中、「ヒュルルルルル――」と鳥の鳴き声が聞こえた。私のチャットアプリの通知音だ。このまま、夢を見ていたいけど、誰からか気になる。もしかして、元カレからかも!? 「別れよう」って、チャットで言ってから、何か月も返信が来ないし。
 私は、ドサッと布団を放り投げ、スマホを取った。
 「たぶん、家政婦の話だったっけ。」
 「あー、でも、家事しない家政婦だったかな。」
 なんだ、B子か。てか、家事をしない家政婦って、なんだよ。ツッコミという労力を使ったせいか、あくびが出た。ベッドに仰向けになると、私は、一瞬で、夢の世界へ飛び込めた。
 手を繋いで、歩いてる。それだけなのに、なんか幸せ。
 といった幸福の時間を、また通知音が邪魔をした。
 え、追いチャット!? あの子、そういうことしなかったよね?
 イライラしながら、スマホを見ると、また違う人だった。
 「久しぶりー。元気にしてる?」
 全然知らん人。てか、夜中に送ってくんなよ。私は、その人をブロックした。そして、スマホをバイブのみのマナーモードにした。

 ベッドの上で、仰向けになりがら、私は、思った。
 緊急地震速報とか、親が倒れたとか、非常事態のことで、鳴るようにしてたけど、やっぱやめた。ぐっすり寝たいから。
 


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