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品品喫茶譚 第117回『前橋 ポンチ モモヤ

静岡は、ひばりブックスにてポンチ絵展をやっているからという訳では決してないのだが、先日、ライブで群馬の前橋に行った際、「ポンチ」に寄った。厳密に言うとポンチは喫茶店というよりはレストランである。この日、私はカツカレーを食べた。風の強い日であった。実家からカーで昼過ぎに前橋に着いた。御世話になっている前橋文学館の近くの立体駐車場にカーをとめ、いつもの朔太郎さん像のところへ。館が閉まっているのは分かっていたので、毎回そうするように朔太郎さん像とツーショット写真を撮ろうと思った。強い風が髪の毛をハゲ散らかしていく。早く済まそう。そう思い、朔太郎さんの肩に手を回そうとした刹那、うしろから強い視線を何個か感じた。館は閉まっていたが、併設されたカフェが開いており、老人たちが茶をしばいていたのである。私は風とともにその場をいそいそと去った。ポンチに行ったのはそのときである。店は貸切状態であった。だので、私はテーブル席に座っても大丈夫だった。しかし、私は窓側に座ったのである。なぜか。私は最近、窓側の席が好きなのである。たまに人が歩いて行く。風情のあるアーケードをいく。なくなった店も沢山ある。私はいつも通過者でしかない。ポンチのあとは「モモヤ」に行った。ここも喫茶店というよりはレストランである。しかし、この二店とも佇まいがよく、私は前橋に来るたびに訪れたくなる。ここではモモヤ特製ラーメンと珈琲を注文した。先程、カツカレーを食ったばかりの人間とは思えないチョイスかもしれないが、よく考えてみてほしい。私たちは大衆中華を食べに行ったとき、ラーメンと炒飯、もしくはラーメンと餃子、ないしラーメンと天津飯のセットを頼んだりするものだ。店をはしごしているから、やや食べ過ぎの様相を呈しているだけで、実際は全く食べ過ぎではないのだ。モモヤ特製ラーメンは塩ラーメンであった。丁寧にニンニクは別で入れられるようになっている。ありがたかった。もしニンニクが入っていたら、夜のライブに著しく支障をきたしただろう。ニンニクを入れたら、さぞコクが出てうまいだろうと思った。次はガンガン入れちゃいたいな。
夜は新しい場所に移転した水星、その名も水星secondでライブだ。数年ぶりに石ノ森けんぢろう君と共演する。風は強く冷たいが、楽しい気持ちにすでになっている。店に入り、マスターと憩っていると、石ノ森君が入ってきた。リハを終え、二人でしばし街へ出る。行政施設のデッドスペースみたいなところで駄菓子を食いながらしゃべった。場所に意味がなければ、中身も全く意味のない会話ばかりだった。そしてそれこそいま自分が一番したいことでもある。良い夜になった。歌は走り、ギターはちゃかついた。二人笑いあってスパゲッティを食うた。車に乗ってひとり帰る。月は出ていた。雲は流れた。ほにゃほにゃと眠り、また一日が始まる。
ポンチ絵展は24日まで!

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