らんぶる
彼は新宿をプラプラ歩いて、疲れたら「らんぶる」に寄ることにしている。「らんぶる」は外から覗くと一見こじんまりとした喫茶店に見えるけれど、実は地下に続く階段があって、階段を下りた先には、素敵な世界が広がっている。
高層ビル街の下にある別世界。
彼はアイスコーヒーをカラカラともてあそびながら、近くにあるレコード屋で購った拓郎君のレコードを眺めたり、これも同じく近くの書店で購った古山高麗雄先生の文庫本を読む。クリエイティビチーが湧いてきちゃったらノートを開くこともある。
奥の方は鏡張りになっているので、自分の姿が映るところを見つけるやすぐ横目でちょろちょろちらちら覗いては前髪をこまめに直したりするナルシストの彼にはちょうどいい。
新宿で行くところに困ったらとりあえず「らんぶる」に行っとけばいいじゃん。という方程式を持っている彼は、中学の同級生(男)と17時くらいから飲み始め、19時くらいにはもはや喋ることもやることもなくなってしまい、グダグダ酔いながらも「らんぶる」に行って、ちょっとダベって帰るというよくわからない事をした日もあったという。
9月5日に純喫茶をテーマにしたアルバムを発売した彼はトレイラー映像(https://youtu.be/Vz7d-ZBhZ50)を彼たっての希望で「らんぶる」で撮らせてもらった。
この映像では大好きな喫茶店で、そこに働く皆さんと同じような、お客さんからしたら至極紛らわしい、はた迷惑な制服姿で躍動する彼の姿を見ることができる。