品品喫茶譚第92回『神戸 ファイン』
ファインに入り、私たちは今夜の凡夜READING CLUBトークパートの打ち合わせをする。と共に、とにかく一息つきたい心持ち。
三月も半ばを過ぎると、みるみる春が顔を出し始める。この日もそんなかんじで、元町のアーケードを歩いているうちに二人とも結構暑い、喉が渇いた、流石に早すぎるかもしれないけれど、ここは冷たいやつを一発決めたい、という精神状態になっており、たとえばアイス珈琲、たとえばソーダ水など、数多ある冷たいドリンクの中からお互いにレモンスカッシュをチョイスした。二人してレモンスカッシュをちゅーちゅー啜りながら、打ち合わせという名のだべりを続ける。ちょっとどうかとも思うが、実際こんなときが一番楽しく、またお互いにトークも快調に走っている。しかし本番ではまた違ったテイストになるのは分かっているし、打ち合わせをなぞるばかりではつまらない。ゲラゲラ笑う。
古本屋やフォークシンガーは公私混同の線引きの難しいところではあるけども、私たちは見事にやってのけるはずである。
店を出て、リハと会場準備のため、本の栞に向かう。トーク前の私の演奏も生音であるため、声出しをしっかりするかんじ。椅子を並べて、早速ビールをいただく。へらへら笑う。
楽しい日になる。
開場し、いい感じにお客さんも集まり、本番が始まる。座って数曲かまして、藤井を呼び込む。
このとき初めて、藤井の椅子に比して、私の椅子の低さに気づく。
ひと笑い確定する。
歌もトークも最初につかめた日は悪くなることがほとんどない。ちょっと恥ずかしいけど好きな音楽のことや神戸トーク、喫茶店、古本屋トーク、ドムドムハンバーガートークなど、数多のトークがひた走り、軽やかに飛び、舞い上がり、すたっと着地して、また再びつたつた歩き出す。
最近の凡夜READING CLUBは本当に楽しい。
ラジオまであと数歩。
観に来てくれて、本当にありがとう。