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【舞台】マーキュリー・ファー(2022年1月31日)

今年初観劇はこれ。美しい容姿で演じられるからこそ持つ魅力。初演もみたかったなあ・・・。


自分の容姿にも興味がないし他人の判断にも容姿の優先順位が高くないうえ、性的な意味でも容姿の優先順位が高くない(むしろ低い)ので、芸能人はだいたいだれでもかっこいいし美人だなあ、とざっくりひとくくり。
とはいうものの、客観的に見てやはりキレイな顔立ちというものは存在する。好みとかいろいろあるんだろうけど、好き嫌いは別として美しい人というのは男女関係なくいるものだ。そして、その価値は本当にすごいなあ、と年を取るごとに思うようになった。昔の王様が酒池肉林とかやってたの、ちょっとわかる気がする。だって、人間という動物で顔が美しく生まれてくるのって、お金や権力で絶対に手に入らないもの。美しい人間って、人間という動物と考えたときに圧倒的な力がある。もちろん、どんなものが「美」なのかは時代や文化で変わってくるだろうけど。

そういう意味で、この舞台はまさに美男二人が中心にいるからこそ異様な世界を際立たせることができ説得力を持つことができるだろう。初演の高橋一生&瀬戸康史・・・。みたかったなあ・・・。その後の彼らのますますの輝きを考えるとそう思ってしまうなあ・・・。

よくある「天才少年≒数字とか得意」っていうステレオタイプではなく、この主人公の一人(兄)は、神話や歴史や考古学が好きという設定でまず気に入りました。そして、そういう人間が何千年も生きてきた積み重なりが、たった一瞬で無になってしまうことの残酷さが、舞台が終わってからも余韻として残ります。あれこれいろいろ悩んで葛藤してきたものが、一瞬で。あの舞台の時間を観客は共有したけれど、一瞬で無。それくらい、平和を日常を守り抜くことは大切だし壊すのは簡単。

これをみた日は「第三の嘘」をもうすぐ読み終わる、というタイミングで、その世界観のシンクロっぷりになんとも頭がクラクラとなった。こういう退廃的でBLっぽい設定って、演劇でも漫画でも小説でもよくあるけど、登場人物たちをつないでいるのが、愛でも憎しみでもなく、「消極的選択」という点がこの舞台の特徴かな。兄弟という点で仲がいいわけで、偶然拾われたことで恋人になったわけで、たまたま隣人だったから巻き込まれて、という具合に。この「非・劇的」な人間関係で起きる「劇的」なパーティーと、それを凌駕する圧倒的な悪として戦争がある。どんな悪事も狂った性癖も、戦争の前では大した話ではない。そう、戦争って、やっぱりダメなんだよね。人をなぶり殺しにすることで興奮する変態ですら、戦争の前ではなんてことない。

しかし吉沢亮さんは、本当に幸運に恵まれているというかそういう星のもとに生まれてるんでしょう。「プロデューサーズ」で井上芳雄さんと共演出来て、大河ドラマの主役をやり、そして白井晃演出に揉まれるとは・・・!正直なところ大河ドラマでの大げさな感じが何というか昔の菅野美穂のようで苦手だったけど(”熱演!”って感じでどうも・・・)、今回はとてもメリハリがあって、若者はどんどん成長するなあ、と思いました。

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