社会不適合者が宅建試験を受験した話
10月に宅建試験を受験してきました。ずっとなんだかんだで忙しくて、この話を書くことができなかったのが悔しいところですが、今日の午後は時間がまとまって取れたので、ノートの記事を色々と編集する時間をつくることができ、とても幸せです。さあ本編に行きましょう。
1.受験のきっかけ
実は去年もこの試験を受けていました。宅建試験を受ける理由は特にありませんでした。ただ、面白そうだったから、街や建築、都市計画に関心があるので、パラパラ参考書をめくって、取り組みやすそうだったからです。
2.受験した結果(昨年)
ただ、法律関係の資格試験なので、そう簡単には合格できません。特に私は文系的な学力が崩壊しており、難しい法律解釈などを苦手としておりましたので、1度目の試験は、なんとなく過去問を周回して受験するという適当の極みでした。2023年度試験です。結果は32点、合格点に4点足りませんでした。この試験は1問1点の50点満点です。合格点が7割以上と、なかなか高い水準ですね。とはいえ、これを専門に契約事務などをするわけですから、もっと基準点が高くても不思議ではないわけです。
宅建試験は「権利関係(民法など)」「宅建業法」「法令上の制限(都市計画・建築基準など)」「税」「その他」に分かれており、配点は以下のとおりです。
権利関係:14点
宅建業法:20点
法令制限:8点
税:3点
その他:5点
これで合格最低点は31点~38点で変動します。この中で、宅建業法は宅建士として業務を行う上での基本的な取り決めについて出題され、割と基本的なこと、権利関係は借地借家法など宅建関係のものから、相続、過去の判例や民法一般の問題など法律に関する幅広い知識を問う問題まで含まれます。法令制限も時々難問が出ますが、概ねポイントを抑えることが可能です。税やその他は出題傾向は比較的わかりやすいものの、時々難問が出ます。
一般的に言われている得点方法は、とにかく宅建業法で満点を目指すこと。宅建業法で18点~20点、残りの問題で18~20点を目指すと38点になります。権利関係は難しいので5割の7点、法令制限は7点以上を目指します。これで14点、残りの4~6点を税・その他問題で得点する狙いです。宅建業法を取りこぼさないことがポイントです。
3.リベンジに向けた対策
前回は過去問を周回する勉強法で、それが良くなかったことはわかっていました。意味を理解できないまま覚えてしまうものは応用が効かないからです。これはセンター試験で何度も痛感した学びです。センター試験でしか使わない地歴公民などの社会系科目を、過去問丸暗記で挑んで、本番で変化球に苦しむなんていう経験をよくしました。だから2024年度試験対策は以下のようにしました。
勉強開始は同じタイミング(試験50日前)
分野別ではない過去問集12年分を購入
間違えた問題について、間違えた理由を問題集に書き込む
棚田行政書士の不動産大学チャンネル(YouTube)を視聴する
勉強開始時期は8月の終わりにしました。ずっとこれをやるわけにはいかないので、時間を区切ることにしました。今回は2度目なので、いきなり過去問を解きます。問題を解く→正誤判定→間違えた問題のテキストを読む→間違えた理由やポイントを抑える。これの繰り返しです。前回は分野別問題集と一問一答しかしなかったのですが、今回はセット別の過去問を一通り解きました。同じテーマの問題でも、問いかけ方が異なる場合があるからです。これが有効でした。
宅建業法は「正しい選択肢はいくつか」という問題が複数出るので、適当な消去法が通用しません。積極法で取っていく訓練も重要です。だから「間違えた理由の洗い出し」が重要になります。なぜ引っかかったのか、なぜこれに気づかなかったのか、まるで人生選択のようですが、自分の判断と思考に理由付けをして問題を進めていくことが重要です。
間違えた理由を問題集に書き込みます。これ、センター試験で点数が伸び悩んだときによくやっていました。実力以外のミス(ケアレスミス)での失点がもったいないので、引っかかるポイントを徹底的に洗い出し、不要な失点を減らします。採点のときに「なんでこんな間違いを!」と思うところを減らすだけで、昨年の4点は取ることができたはずだからです。
加えて、妻の勧めで、YouTubeなどの音や映像から知識を吸収することを試してみました。以下のチャンネルには本当にお世話になりました。何より、繰り返し考えること、リズムよく思考を繰り返すことで、知識の定着につながったと思います。毎日18時に動画を観て、できていないところの点検をすることを日課にすると、勉強も捗りました。
4.勉強の成果
合格点は毎年異なりますが、正確に幅広い知識を吸収し、それを応用するというのは、私にはとても難しいものでした。過去問を繰り返しますが、宅建業法でさえも、なかなか18点には届かず、総合点で34点程度を漂流していました。本当は苦手な権利関係を深堀りしたいところですが、権利関係は努力と結果が比例しにくいので、最低限だけ抑えて、とにかく宅建業法をやります。「宅建業法で20点/20点を取ること=合格」くらい、宅建業法に執着します。
宅建業法で19点以上安定するようになると、過去問の得点が38点代後半に安定してきます。それでも、法令や権利関係がいまいち安定しません。本当に大丈夫なのかと不安になるところですが、それでも、宅建業法と法令上の制限を毎日毎日繰り返します。馬鹿みたいに問題をとき、間違えた理由を頭に叩き込みます。知識ではなく、「〇〇について〇〇と判断したから引っかかった」という単位で暗記します。これで徐々に40点を超える場合が出てきますが、結局最後まで40点以上が安定することはありませんでした。
5.本試験
2024年度試験は10月20日に実施されました。日曜日でこれが終わるとまた労働の月曜がやってくる…本当は土曜日に終わって解放されたいという気分ですが、土曜日も勉強できることに喜んで耐えます。
試験開始、宅建業法から進めます。失点はありえないという水準まで追い込んだので、逆に1個不安なものが出るだけで心配になってきます。「1点落とした…まずい」という感じです。ただし、このくらいであればもう大丈夫です。宅建業法を積極法で正解できるようになればOKです。
法令上の制限は多分8問全部大丈夫だろうという手応え。怪しい問題が1つありましたが、確実に正しいと言える選択肢があり、それに手を伸ばします。こういう解答の仕方ができるようになったことを嬉しく思いながら。
税金分野は無難な出題、その他問題も消去法が利くラインナップで一安心ですが、これは差がつかないパターン。やはり権利関係が鍵でしょうか。少々不安な感覚になりますが、焦らず。
権利関係に目を通します。非常に難しい。というよりも、テキストベースの話ではないような独特な問い方の問題が多く、自信を持って回答できるものが少なく、一般的にこうだろうという推測で回答したものが半分程度もありました。
不合格だったら意味がない…こう思ってしまうのが人間ですが、意地でも今回はそう思いません。勉強できること、学ぶことや知ることを楽しめること、そして視聴していた不動産大学でも棚田行政書士が話されていた「応援してくれる人への感謝の気持ちを忘れずに」ということを常に頭に置いていました。
試験時間中も、今どれくらいできているのか気にしながら、1問1問に一喜一憂しながらになりますが、何より「宅建の勉強楽しいなあ、楽しかったなあ」と思うことを忘れないようにします。何も知らなかった状態から、賃貸の契約のことまでわかるようになったんだから、嬉しいことじゃないか、素晴らしいことじゃないか、そうポジティブに。だから、仮にダメだったとしても、もう1年、ゆっくりやっていこうという気分で、解答を終えます。
6.結果
妻と買い物をするので待ち合わせ。喫茶店で自己採点した結果、44/50点でした。不安だった権利関係(判断できないものが半分以上あった)、予想を7/14点としていましたが、採点してみると12/14点でした。法令上の制限が6/8点、宅建業法が18/20点、税・その他が8/8点と、これまでの中で最も良い出力値となりました。
じっくり勉強すること、理解できることに重点を置くこと、合格じゃなく勉強自体を楽しむことを意識したことが、少しだけ効果をもたらしたかなと思います。何より「自分でできることを増やして、賃労働から解放されたい」「思考停止の会社奴隷から足を洗いたい」という強い気持ちが、私を常に資格試験に向かわせているのだともわかりました。他にもやりたいことがたくさんある中、時間的なキツさを追ってでも、「朝起きて会社に行くのを辞める」夢を諦めたくありませんからね。
応援してくれた妻には本当に感謝です。
7.参考書
参考書は以下のものを使いましたので、ご紹介します。
予想模試以外の教材を一式使いました。予備校や通信教材は使っていません。ご参考になれば幸いです。