言霊の幸わう国 【創作】
かつてこの国は、言霊に溢れていた。言霊とは言葉。いにしえの太古の時代。大和が国を治める遥か以前では、心の声ですら言霊として聴こえていた。
人間同士はもちろん、動物までも言霊を発しており、四つ足と呼ばれる、鹿や猪、猿、狐、狸などあらゆる種類の動物達は、人々と同じように言葉を話し野山を駆け回っていた。
鳥や魚においても、分かる者にはその言葉が聞こえていたという。生きとし生けるもの全てが言葉を話していたというのだ。
先人たちはそのことが当たり前すぎて、語り継ぐことすら忘れていた。さらにそれよりも古い時代には、岩や木や、山や森が言霊を持つということもあった。そのような土地は聖なる場所として、令和の時代にも語り継がれているのである。
少し足を伸ばせば我々は、それらの地へと、いともたやすく訪れることができるのである。心の中の世界では、想像するだけで、もうその地へと辿り着いている。
Amazing。その言霊から始まる物語である。
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